Y信号

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映像の明るさ:Y信号とは

動画を形作る要素は、色の情報だけではありません。色の濃淡を表現するために、明るさを表す情報も必要です。この明るさを示す信号のことを、輝度信号と呼びます。輝度信号は一般的にY信号とも呼ばれ、映像を白黒で表現した時の濃淡を表します。かつての白黒テレビは、この輝度信号だけで映像を映し出していました。画面全体を白から黒のグラデーションで表現し、色の情報は全く含まれていませんでした。暗い部分は黒に近く、明るい部分は白に近づくことで、白黒の濃淡だけで映像を表現していたのです。例えば、明るい太陽の光が降り注ぐ風景は、白に近い明るい階調で表現されます。一方、夜空に浮かぶ月は、黒に近い暗い階調で表現されます。このように、輝度信号は白黒の濃淡を段階的に表現することで、様々な明るさの風景を映し出すことを可能にしています。現代のカラーテレビ放送においても、この輝度信号は重要な役割を果たしています。カラーテレビは、色の情報を表す信号と輝度信号を組み合わせることで、鮮やかなカラー映像を再現しています。色の情報だけでは、映像の明るさが表現できません。輝度信号が加わることで、色の情報に明るさの情報が加わり、より自然で鮮明な映像を作り出すことができるのです。例えば、真っ赤なリンゴを映し出す場合、赤色の情報だけではリンゴの表面の光沢や影の表現ができません。輝度信号が加わることで、リンゴの明るい部分と暗い部分が表現され、より立体感のあるリアルな映像になります。このように、輝度信号は現代のカラーテレビにおいても無くてはならない重要な要素なのです。
色彩

色差信号:映像の色の秘密

色の情報を伝える手段として、色差信号は映像の世界で欠かせない存在です。私たちが普段テレビや画面で見る色彩豊かな映像は、赤、緑、青の三色の光を混ぜ合わせて表現されています。これらの光の強さをそれぞれ数値で表したものが、赤緑青信号(RGB信号)です。色差信号は、このRGB信号から明るさを表す信号(輝度信号Y)を引くことで得られます。言い換えれば、色差信号は、明るさ以外の純粋な色の情報だけを抜き出したものと言えます。具体的には、青の信号から輝度信号を引いたものを青色差信号(B-Y)、赤の信号から輝度信号を引いたものを赤色差信号(R-Y)と呼びます。なぜこのような複雑な処理をするのでしょうか?それは、人間の目は色の変化よりも明るさの変化に敏感であるという特性があるからです。輝度信号と色差信号に分けることで、明るさの情報はそのままに、色の情報は少しだけ間引いても、人間の目にはほとんど変化がないように感じられます。これが、データの圧縮に繋がるのです。色差信号を使う利点は他にもあります。例えば、映像の色合いを調整する際、RGB信号のままでは三色のバランスを考えながら調整しなければならず、複雑な作業となります。しかし、色差信号を用いると、明るさの情報は輝度信号で調整し、色の情報は色差信号で調整すれば良いので、作業が格段に楽になります。このように、色差信号は、映像を扱う上で様々な利点があり、テレビ放送や映像制作の現場で広く活用されています。色の鮮やかさを保ちつつデータ量を抑え、さらに色の調整も容易にする、まさに縁の下の力持ちと言えるでしょう。