
動画のウエストショット:表現を広げる撮影技法
腰のあたりから頭までを写す撮影方法を、ウエストショットと言います。人物の表情や身振りを捉えつつ、背景も程よく入れることができるため、状況説明や感情表現に効果的です。胸から上を写すバストショットよりも広い範囲を写すことで、周りの環境や状況がより分かりやすくなります。また、全身を写す全身ショットほど引きの絵にならないため、表情や動きを比較的大きく見せることができます。例えば、ある人物が公園のベンチに座って物思いに耽っている様子を撮影する場合を考えてみましょう。全身ショットでは、広々とした公園全体の雰囲気が伝わる一方で、人物の表情は小さく映ってしまいます。バストショットでは表情は大きく捉えられますが、ベンチに座っているという状況や周囲の環境は分かりにくくなります。ウエストショットであれば、座っている様子や背景の公園の様子も捉えつつ、表情や仕草から感情を読み取ることができます。このように、ウエストショットはバランスの取れた撮影方法と言えます。インタビューや対談番組では、話し手の表情や身振り、そしてある程度の背景も同時に見せる必要があるため、ウエストショットがよく用いられます。ドラマや記録映像などでも、登場人物の心情や状況説明を効果的に行うために、ウエストショットは欠かせない撮影技法の一つです。ウエストショットは単独で用いられるだけでなく、他の撮影方法と組み合わせることで、より効果的な映像表現が可能になります。例えば、遠くから全体を捉えるロングショットから、徐々にウエストショット、そしてバストショットへと切り替えることで、視聴者の視点をスムーズに人物へと誘導し、感情移入を促すことができます。撮影対象や場面の雰囲気に合わせて、様々な撮影方法と組み合わせることで、より奥行きのある映像作品を制作できるでしょう。