SN比

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録音レベルを上げる技術:エレベートレベル

音や曲をより鮮やかに、生き生きとしたものにするために、たくさんの工夫がされてきました。録音する時、周りの雑音を取り除き、澄んだ音を取り出すことは、いつも難しい問題です。録音機に針と円盤を使う時代から、雑音を減らし、聞きたい音だけをきれいに残すための様々な方法が考えられてきました。その中で、録音機の性能を最大限に引き出すための大切な方法の一つが「エレベートレベル」です。針と円盤を使う録音機では、円盤に音を刻みつける針の振動の幅が音の大きさになります。この振動の幅が小さいと、録音される音も小さくなります。小さい音は、録音機自体が発する小さな電気の雑音にかき消されてしまうことがあります。このため、録音する際に、通常よりも少し大きな音で録音する工夫が生まれました。これがエレベートレベルです。エレベートレベルは、録音時に音の大きさを上げることで、相対的に雑音の影響を小さくする効果があります。録音後、再生時に本来の音の大きさにまで戻せば、雑音が目立たなくなり、よりクリアな音を楽しむことができます。ちょうど、小さな声で話すより、大きな声で話した方が周りの雑音に負けないのと同じです。エレベートレベルは、特に静かな曲や、小さな音を録音する際に効果を発揮します。例えば、虫の声や、静かに流れる川の音などを録音する場合、エレベートレベルを使うことで、これらの繊細な音を雑音に埋もれさせることなく、鮮明に記録することができます。しかし、エレベートレベルには注意すべき点もあります。録音する音があまりにも大きいと、針が円盤から外れてしまったり、音が歪んでしまったりすることがあります。そのため、録音する音の種類や録音機の性能に合わせて、適切なエレベートレベルを設定することが重要です。適切なレベルを設定することで、録音機の持つ性能を最大限に活かし、より美しい音を記録することができるのです。
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動画のクオリティを上げる!SN比を理解しよう

動画を作る上で、伝えたい情報をはっきりと届けるためには「信号」と「雑音」についてよく知ることが大切です。 信号とは、見てほしいものや聞いてほしいもののことです。例えば、動画に映っている人や物、話している人の声などが信号にあたります。一方で、雑音とは、それ以外の邪魔になる情報のことです。映像に映り込む砂嵐のようなノイズや、音声に混じるザーザーというノイズなどが雑音にあたります。信号と雑音の関係は、「信号と雑音の比率」という言葉で表されます。これは、信号の強さと雑音の強さを比べた値です。この比率が高いほど、信号が雑音よりも強く、映像や音声がクリアになります。例えば、星空を背景に人物を撮影する場合、星空が暗すぎると人物も暗くなりノイズが目立ちやすくなります。照明で人物を明るく照らすことで、ノイズが目立たなくなりクリアな映像になります。逆に、この比率が低いと、雑音が目立ち、映像や音声が乱れてしまいます。例えば、周囲が騒がしい場所で撮影すると、話し声に雑音が混じって聞き取りにくくなってしまうことがあります。このような場合は、周囲の雑音を減らす、もしくは声を大きくすることで聞き取りやすくなります。質の高い動画を作るためには、この信号と雑音の比率を高く保つことが重要です。撮影時には、照明を適切に使い、雑音の少ない環境を選ぶことが大切です。また、編集ソフトを使って雑音を取り除いたり、信号を強調したりすることも効果的です。信号と雑音の比率を理解し、適切な対策をすることで、よりクリアで高品質な動画を制作することができます。
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レコードの音質を決めるRIAA特性とは?

黒く輝く円盤、レコード。その中心から外側に向けて渦を巻くように刻まれた溝。この溝に秘められた音の情報を引き出すには、針とレコード盤の接触が必要不可欠です。 一見、単純な仕組みに見えますが、実際は緻密な技術の結晶です。レコード針は、レコード盤の溝の上を滑りながら、その微細な凹凸を読み取ります。この溝の凹凸こそが、記録された音の情報そのものなのです。高い音は細かく速い振動、低い音は大きくゆったりとした振動として、溝に刻まれています。針はこの振動を忠実に拾い上げ、電気信号へと変換します。しかし、溝に刻まれた振動をそのまま電気信号に変換しただけでは、クリアな音を取り出すことはできません。 そこで登場するのが「りああ特性」と呼ばれる技術です。「りああ特性」とは、低い音を小さく、高い音を大きくして録音する手法です。 なぜこのようなことをするのでしょうか。それは、レコード盤の物理的な制約と関係があります。もし、低い音をそのままの大きさで記録すると、溝の幅が大きくなりすぎて、隣の溝に干渉してしまう可能性があります。また、高い音をそのままの大きさで記録すると、溝の振動が小さすぎて、ノイズに埋もれてしまう危険性があります。そこで、「りああ特性」を用いて、低い音を小さく、高い音を大きくすることで、これらの問題を回避しているのです。針によって拾い上げられ、「りああ特性」で変換された電気信号は、そのままでは非常に微弱です。 そのため、増幅器を使って信号を大きくする必要があります。増幅された信号は、スピーカーに送られ、電気信号が空気の振動、つまり音に変換されます。こうして、レコード盤に刻まれた音が、私たちの耳に届くのです。 レコード再生は、アナログ技術の粋を集めた、繊細で奥深い世界です。 針と盤の摩擦、電気信号の増幅、そして空気の振動。これらの要素が緻密に組み合わさり、時を超えた音の旅を演出するのです。
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録音レベルの向上:高音質サウンドへの道

音声を録音する際には、適切な音量で記録することがとても大切です。この音量のことを録音レベルと言います。録音レベルの設定を誤ると、せっかくの音源も台無しになってしまうことがあります。まず、録音レベルが小さすぎる場合を考えてみましょう。小さな音で録音すると、再生時に本来の音に加えて、録音機器のノイズが大きく聞こえてしまいます。例えば、川のせせらぎを録音したいのに、川のせせらぎよりも録音機器の「サー」というノイズの方が目立ってしまっては、聞きづらい録音になってしまいます。また、小さな音で録音したものを後から音量を大きくしようとすると、一緒にノイズも大きくなってしまい、音質が落ちてしまいます。反対に、録音レベルが大きすぎるのも問題です。音が大きすぎると、録音機器の限界を超えてしまい、音が割れてしまいます。割れた音は、まるでスピーカーが壊れた時のような、歪んだ不快な音になります。こうなってしまうと、後から音量を下げても、歪みは元に戻りません。では、適切な録音レベルとはどれくらいでしょうか?実は、使用する録音機器や記録媒体によって、適切なレベルは変わってきます。しかし、多くの録音機器には、レベルメーターと呼ばれるものが付いています。このレベルメーターを見ながら、音が割れないギリギリの大きさに調整することで、クリアで聞き取りやすい、質の高い録音ができます。レベルメーターには、瞬間的な最大の音量を示すものや、平均的な音量を示すものなど、様々な種類があります。機器の説明書をよく読んで、どのメーターを参考にすれば良いのかを確認しましょう。適切な録音レベルを理解し、レベルメーターを活用することで、ノイズや歪みのない、美しい音声を録音することができます。
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ダイナミックレンジを拡大するdbxとは?

録音された音には、どうしても余分な音が混じってしまうため、本来の音の良さが失われてしまうことが、録音技術において長年の悩みでした。録音の大きさ(録音レベル)を上げると雑音も目立ち、逆にレベルを下げると音の幅(ダイナミックレンジ)が狭くなり、迫力に欠けるという問題がありました。録音の質を高めるために、様々な工夫が凝らされてきましたが、画期的な技術が登場しました。それが、アメリカの会社であるdbxラボラトリー社が開発した「dbx」という雑音を減らす仕組みです。dbxは、アナログ録音における音の幅と、本来の音に対する雑音の割合(信号対雑音比)を大きく改善しました。これまでの録音では、大きな音と小さな音の差をうまく捉えることが難しく、どうしても録音レベルを調整する際に、雑音が増えたり、音の幅が狭まったりするといった問題がありました。dbxはこの問題を解決し、小さな音から大きな音まで、歪みなく録音し、元々の音に限りなく近い状態で再生することを可能にしました。dbxの登場は、録音技術に大きな進歩をもたらしました。静かな音楽 passages の繊細な表現や、大音量のオーケストラの迫力など、これまで失われていた音の情報を余すことなく捉えることができるようになりました。そのため、音楽を作る現場や、ラジオ・テレビ放送といった分野で広く使われるようになり、高品質な録音の普及に大きく貢献しました。dbxは、録音技術の進化における重要な一歩であり、より良い音を求める人々にとって、なくてはならない存在となりました。