
ビデオテープの王者VHS:その栄光の歴史
昭和五十一年、日本を代表する電機メーカーであった日本ビクター(現在の株式会社JVCケンウッド)が、家庭用ビデオ録画装置「VHS」を発売しました。これは、まさに家庭における映像記録のあり方を大きく変える革命的な出来事でした。それまでの家庭用ビデオ録画装置といえば、高額で場所を取るような大型のものがほとんどでした。そのため、一般家庭で気軽に利用できるものではありませんでした。しかし、VHSは、それまでの装置に比べて比較的小型で価格も抑えられていたため、多くの家庭がビデオ録画を楽しめるようになりました。カセットテープ方式を採用したことも、VHSの普及を後押ししました。コンパクトなカセットテープに映像を記録することで、録画済みのテープの交換や整理、保管が容易になりました。また、好きな時に映画やテレビ番組を再生して楽しめるようになったことは、当時の人々にとって画期的な体験でした。VHSの登場は、人々の余暇の過ごし方に大きな変化をもたらしました。レンタルビデオ店という新しい商売の形態が生まれ、街の風景も変わっていきました。人々は、見たい時に見たい映画を借りてきて、自宅でくつろぎながら映画鑑賞を楽しむことができるようになりました。さらに、人気番組を録画して何度も見返す人も多く、社会現象にまで発展しました。VHSは、まさに昭和という時代を象徴する製品と言えるでしょう。