
映像の土台:ペデスタルレベルとは?
動画を作る上で、黒色の表現は画面全体の印象を左右する重要な要素です。例えば、夜空の暗闇や影の深み、明るい部分と暗い部分の対比など、黒色の表現次第で映像の奥行きや立体感が大きく変わってきます。この黒色の基準となるのが、明るさのレベルを示す「台座の高さ」のようなものです。これは、映像信号の中で明るさを数値で表すときの、0パーセントに当たる部分です。アメリカの電気電子技術者協会が定めた基準では、0アイアールイーとされています。この「台座の高さ」は、テレビ画面に何も映っていない、画面が次の画面を描く準備をしている間の信号のレベルと同じです。つまり、黒色の基準点として機能しているのです。この基準点があるおかげで、私たちは映像の中の黒色をきちんと黒色として認識できます。もし、この「台座の高さ」が正しく設定されていないと、本来黒色で表示されるべき部分が灰色っぽく見えたり、黒色が潰れてしまったり、逆に明るい部分が白飛びしてしまったりします。例えば、暗い洞窟の中を表現しようとした時に、「台座の高さ」が高いと、洞窟内が灰色っぽくなり、暗闇の雰囲気が出せません。逆に、「台座の高さ」が低いと、洞窟内のわずかな光も表現できず、真っ黒な画面になってしまいます。このように、「台座の高さ」の設定が適切でないと、映像全体の品質が著しく低下してしまいます。黒色の基準を正しく設定することは、映像の土台をしっかりと固めることと同じくらい重要であり、高品質な映像制作には欠かせない要素と言えるでしょう。