NTSC

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ダウンコンバートとは?高画質動画を様々な機器で楽しむ

動画を扱う上で『ダウンコンバート』は欠かせない技術です。 簡単に言うと、高画質の動画を低画質に変換する作業のことを指します。普段あまり意識することはないかもしれませんが、実は様々な場面で利用されています。例えば、皆さんが所有している高性能な携帯電話で撮影した動画を、少し古い型の携帯電話に送信したいとします。最新の機種で撮影した動画は非常に高画質なので、そのままでは古い機種では再生できない、もしくは再生できてもカクカクしたり、容量が大きすぎて送信できなかったりといった問題が発生する可能性があります。このような場合にダウンコンバートが必要になります。動画の画質を落とすことで、古い機種でも再生できるように変換するのです。他にも、テレビ放送もダウンコンバートの一例です。地上デジタル放送は高画質ですが、すべての家庭が対応したテレビを持っているわけではありません。そのため、放送局は高画質の映像をアナログ放送に対応した画質に変換して放送しています。このように、様々な機器で同じ映像を楽しめるようにするためにダウンコンバートは重要な役割を担っています。動画ファイルの保存容量を小さくしたい場合にもダウンコンバートは有効です。高画質の動画ファイルは容量が非常に大きいため、保存できる数が限られてしまいます。ダウンコンバートで画質を落とすことで、ファイルサイズを小さくして多くの動画を保存することができます。一見画質を落とすだけの不要な作業に思えるかもしれませんが、実は様々な機器との互換性を保ち、多くの場面で動画を楽しむために必要不可欠な技術なのです。
色彩

色信号の基礎知識

画面に映る色鮮やかな映像。私たちは普段、何気なくテレビやパソコンで動画を楽しんでいますが、その美しい映像を作り出している裏側には「色信号」と呼ばれる重要な要素が隠されています。色信号とは、映像の中で色の情報を伝える電気信号のことです。色の三原色、赤、緑、青の情報がこの信号によって運ばれ、私たちの目に届くのです。かつて、テレビ放送は白黒の映像しか映し出すことができませんでした。しかし技術の進歩とともにカラー放送が実現し、白黒テレビに色が加わることになりました。この時、課題となったのは白黒テレビとの互換性を保つことでした。つまり、カラーテレビでも白黒テレビの番組を問題なく見られるようにする必要があったのです。そこで考え出されたのが、白黒テレビの信号に色の情報を付け加えるという方法でした。白黒テレビ放送で使われていた明るさを表す信号は輝度信号と呼ばれ、カラー放送ではこの輝度信号に色信号を組み合わせることで、カラー映像を作り出す仕組みが採用されました。色信号単体では、色の情報しか持っていません。これは、画家のパレットに並べられた絵の具のようなものです。絵の具だけでは絵は完成しません。白いキャンバスが必要です。この白いキャンバスの役割を果たすのが輝度信号です。輝度信号によって映像の明るさが決まり、そこに色信号が加わることで、鮮やかな色彩が表現されるのです。色信号は、テレビ放送だけでなく、ビデオテープへの録画やインターネットで配信される動画など、様々な映像技術に欠かせない存在となっています。私たちが日常的に触れている映像のほぼ全てに、色信号が関わっていると言っても過言ではありません。普段何気なく見ている映像の裏側で、色信号が重要な役割を果たし、私たちの目を楽しませていることを少し意識してみると、映像の見え方が変わってくるかもしれません。
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映像の黒レベル:setuplevel解説

動画に映る一番暗い部分、つまり黒色の基準となる明るさを黒レベルと言います。専門用語では「セットアップレベル」とも呼ばれています。この黒レベルは、画面に映る黒色の濃さを決める大切な要素であり、映像全体の明るさやコントラスト(明暗の差)に大きな影響を与えます。黒レベルの設定が適切でないと、本来黒色で表現されるべき部分が沈み込んで真っ黒につぶれて見えたり、逆に黒色が薄く灰色がかって白っぽく見えてしまったりします。例えば、夜空の星々を撮影した場面を考えてみましょう。黒レベルが正しく設定されていれば、背景の夜空は漆黒の闇として表現され、星々がより一層輝いて見え、奥行きのある美しい星空が映し出されます。しかし、黒レベルがずれて高い値に設定されていると、夜空は灰色がかって明るく表示され、星々の輝きもぼやけてしまい、本来の美しさが失われてしまいます。逆に黒レベルが低すぎると、夜空は真っ黒につぶれてしまい、星も見えなくなってしまいます。黒レベルは、テレビやディスプレイなどの表示装置によっても異なり、それぞれの装置に最適な黒レベルを設定することで、映像本来の美しさを最大限に引き出すことができます。映像制作において、黒レベルを正しく理解し、適切に設定することは、高品質な映像表現を実現するために非常に重要です。黒レベルの調整は、撮影時のカメラ設定や編集ソフトで行うことができます。映像制作の初心者の方は、まず表示装置の標準設定を使用し、徐々に調整していくことをお勧めします。経験を積むことで、自分の表現したい映像に最適な黒レベルを見つけることができるようになるでしょう。
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映像変換の重要性:世界への架け橋

世界の様々な場所で制作されるテレビ番組は、それぞれの地域特有の表示方法を採用しています。そのため、ある国で制作された番組を別の国でそのまま放送しようとすると、映像が正しく表示されないことがあります。画面が乱れたり、色がおかしくなったり、場合によっては全く映らないことさえあります。異なる表示方法の壁を乗り越え、世界中の視聴者に様々な番組を届けるために活躍するのが、標準方式変換装置です。まるで言葉を通訳するように、この装置は映像信号を異なる表示方式に合うように変換する役割を担っています。標準方式変換装置は、国際的な番組交換において必要不可欠な存在です。例えば、日本の放送局が海外のドラマを輸入する場合、そのドラマの映像信号は日本のテレビに合うように変換されなければなりません。この変換作業を標準方式変換装置が行うことで、私たちは世界の様々な番組を自宅のテレビで楽しむことができるのです。まさに、世界中の映像を繋ぐ縁の下の力持ちと言えるでしょう。この装置の内部では、高度な技術が用いられています。まず、入力された映像信号を分析し、その信号がどのような表示方式に基づいているのかを判別します。次に、目的の表示方式に合うように、信号の走査線数やフレームレート、色情報などを変換します。これらの処理は、非常に高速かつ正確に行われなければなりません。少しでも誤差が生じると、映像の質に悪影響が出てしまうからです。高度な技術によって支えられた標準方式変換装置は、高画質化が進む現代において、その重要性を増しています。このように、標準方式変換装置は国際的な映像流通を支える重要な役割を担っています。この装置がなければ、私たちは世界中の多様な番組に触れる機会を失ってしまうでしょう。標準方式変換装置は、異なる文化や価値観を理解するための架け橋となり、グローバルな情報共有に大きく貢献していると言えるでしょう。
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走査線と映像の仕組み

動画は、静止画の連続によって動いているように見せているものです。パラパラ漫画を想像してみてください。一枚一枚の絵は静止していますが、それを高速でめくると、まるで動いているように見えますよね。動画もこれと同じ原理で、たくさんの静止画を連続して表示することで、動いているように見せているのです。では、一枚の静止画はどのようにして表示されているのでしょうか。ここで「走査線」が登場します。画面を細かい横線で区切り、その線を上から下へ順番になぞっていくことで、絵を描いていくのです。この横線が「走査線」と呼ばれています。昔ながらのブラウン管テレビを思い出してみてください。画面に近づいてよく見ると、細い横線がたくさん並んでいましたよね。これが走査線です。ブラウン管テレビでは、電子銃から電子ビームを発射し、このビームが画面上の蛍光物質に当たると光る仕組みを利用していました。電子ビームが画面の左上から右へ、そして上から下へと順番に走査線をなぞることで、画面全体に光が灯り、絵が浮かび上がるのです。走査線の本数が多いほど、きめ細かい絵を描くことができ、高精細な映像になります。現在主流の液晶テレビや有機ELテレビでは、ブラウン管のように電子ビームを使いません。しかし、画面表示の仕組みは基本的に同じで、走査線と同じように画面を上から下へ順番に描き出していくことで映像を表示しています。液晶や有機ELのそれぞれの画素を制御することで、鮮やかな色彩や高画質を実現しています。このように、走査線は動画を表示する上で非常に重要な役割を担っています。走査線によって、私たちは滑らかで美しい動画を楽しむことができるのです。技術は進歩しても、画面を細かく分割して表示するという基本的な考え方は変わらないでしょう。
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動画の色情報: サブキャリアの役割

{昔の白黒テレビは、色の情報がなく、濃淡だけで映像を表現していました。色のついたテレビが登場した裏には、様々な工夫が凝らされています。まるで白黒の絵に色を塗るように、白黒映像に色の情報を加えることで、色のついた映像を作り出しているのです。この色の情報を伝える役割を担っているのが「副搬送波」です。副搬送波とは、色の情報を伝えるための波で、白黒映像信号にこの副搬送波を組み合わせることで、色のついた映像を実現しています。具体的に説明すると、カメラで撮影された映像は、まず赤、緑、青の三原色の信号に分解されます。この三原色の情報は、明るさを表す信号と色の情報を表す信号に変換されます。明るさを表す信号は白黒テレビ放送と同じように扱われ、色の情報を表す信号は副搬送波に乗せられて送られます。テレビ受信機は、この副搬送波から色の情報を取り出し、明るさを表す信号と組み合わせることで、元の色のついた映像を再現するのです。この副搬送波という技術によって、テレビは白黒からカラーへと大きな進化を遂げました。色の情報を加えることで、映像はより鮮やかになり、より現実に近い表現が可能になりました。例えば、青い空、赤い花、緑の木々など、自然の美しさをよりリアルに映し出すことができるようになったのです。これは映像制作技術における大きな進歩であり、私たちが今日、当然のように見ているカラーテレビの礎となっています。まるで魔法のように白黒の世界に色が加わったことで、人々はより感動的で豊かな映像体験を楽しむことができるようになりました。この技術革新は、テレビ放送の歴史における重要な一歩であり、私たちの視覚世界を大きく変えたと言えるでしょう。
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コンポジットビデオ信号とは?

かつて、家庭のテレビといえば、茶色の線一本で映像を繋ぐのが当たり前でした。この、今ではほとんど見かけることのなくなった接続方法で使われていたのが、コンポジットビデオ信号です。ビデオデッキやゲーム機といった、少し前の機器を思い浮かべると、ピンとくる方もいるかもしれません。このコンポジットビデオ信号は、白黒テレビの時代からカラーテレビの時代へと移り変わる中で、重要な役割を果たしました。白黒映像の信号に、色情報を加えることでカラー化を実現したのです。しかし、どのようにして一つの信号の中に、白黒と色の情報が共存できるのでしょうか?その仕組みは、少し複雑ですが、様々な電気信号を巧みに組み合わせることで実現しています。明るさを表す輝度信号、色の種類を表す色信号、そして色の濃さを表す彩度信号。コンポジットビデオ信号とは、これらの信号を一つの信号線にまとめて送る、いわば「寄せ集め信号」なのです。この方式は、配線が一本で済むという手軽さから、広く普及しました。しかし、複数の信号を混ぜ合わせているため、どうしても画質が劣化してしまうという欠点がありました。色が滲んだり、輪郭がぼやけたりといった現象は、コンポジットビデオ信号では避けられない問題でした。現代では、デジタル技術の発展により、HDMIなど高画質の映像信号が主流となっています。これらの技術と比較すると、アナログ技術であったコンポジットビデオ信号の限界が見えてきます。しかし、コンポジットビデオ信号は、限られた技術の中で、カラーテレビを実現するための工夫が凝らされた、重要な技術だったと言えるでしょう。その仕組みを学ぶことは、映像技術の進化の歴史を理解する上で、大きな助けとなるはずです。
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色の搬送波:映像に色を乗せる仕組み

かつて、画面に色がなかった時代のテレビ、白黒テレビが主流でした。その後、技術の進歩とともに、鮮やかな色彩で映像を映し出すカラーテレビが登場しました。しかし、カラーテレビの普及には大きな課題がありました。それは、既に多くの家庭に普及していた白黒テレビとの互換性をどのように保つかということです。つまり、カラーテレビ放送が始まっても、白黒テレビでも変わらずに映像を見られるようにする必要がありました。この課題を解決するために開発されたのが、色の信号を運ぶ搬送波、色副搬送波という技術です。簡単に言うと、白黒テレビで使われていた明るさの信号に、色の情報を別の電波に乗せて重ねることで、両方のテレビに対応できるようにしたのです。色副搬送波は、色の情報を伝えるための専用の乗り物のようなものです。カラーテレビはこの乗り物に積まれた色の情報を読み取って、画面に色を再現します。一方、白黒テレビは色の情報を読み取る機能を持っていないため、この乗り物を無視して、明るさの情報だけを読み取ります。このようにして、一つの電波に白黒とカラー両方の情報を含ませることで、両方のテレビで映像を映し出すことを可能にしました。色副搬送波は、まるで手紙を届ける郵便配達員のような役割を果たします。カラーテレビは配達された手紙を開けて色情報を読み取り、白黒テレビは手紙を受け取らずにそのままにします。このように、色副搬送波によって、白黒テレビとカラーテレビの共存が可能になり、テレビ放送の円滑な移行を実現したのです。
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動画編集の基礎:カラーフレーム

昔のテレビ放送、特に白黒からカラーに移り変わる頃の技術に、カラーフレームというものがあります。カラーフレームは、色の情報を正しく伝えるための仕組みで、アナログ放送で使われていたNTSC方式という仕組みに欠かせないものでした。画面に映る映像は、実は細かい線を描いていくことで表現されています。この線を走査線と呼び、電子銃という装置が画面を上から下へとなぞるようにして、光を当てて描いていました。この走査線を描くタイミングを合わせるために、水平同期信号という信号が使われていました。それと同時に、色を正しく表示するために、色の基準となる信号であるバースト信号も送られていました。NTSC方式では、このバースト信号と水平同期信号の関係が非常に重要でした。画面は、走査線が奇数番目のフィールドと偶数番目のフィールドの2つで1つの画面(フレーム)を作っています。さらに、このフレームが2つ集まって、4つのフィールド(フィールド1、2、3、4)で1つのまとまりを構成します。これがカラーフレームです。それぞれのフィールドにつけられたバースト信号は、90度ずつ位相をずらして送られています。フィールド1を基準にすると、フィールド2は90度、フィールド3は180度、フィールド4は270度ずれています。そして、次のフィールド1に戻ると、また元の位相に戻ります。この4つのフィールドを1セットにすることで、色の情報を安定して伝えることが可能になりました。4フィールドで1周するので、全体で360度となり、元の状態に戻るわけです。ちょうど円を一周するように、位相が変化していきます。昔のブラウン管テレビでは、このカラーフレームに合わせて色を再現していました。最近のデジタル放送では、このような仕組みはあまり意識されなくなりましたが、昔のビデオテープなどを扱う際には、このカラーフレームの理解が重要になります。編集などで映像を扱う際、カラーフレームを意識しないと、色がおかしくなってしまうことがあるからです。
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動画の画質を上げるには?クロスルミナンス対策

色のずれとは、映像の色が本来あるべき色とは異なって表示されてしまう現象のことです。色のずれには様々な種類があり、それぞれ発生原因や見え方が異なります。ここでは、代表的な色のずれとして「色にじみ」と「色の違い」について説明します。まず、「色にじみ」とは、色が本来あるべき場所から滲み出て、輪郭がぼやけてしまう現象です。これは、映像信号の処理過程で、色の情報が正しく分離されなかったり、隣接する色情報が混ざり合ってしまうことで起こります。例えば、赤い物体の輪郭に青色の縁取りが見える場合や、白い背景に黒い文字を表示した際に文字の周りが灰色っぽく見える場合などが、色にじみの例です。この現象は、昔のテレビ放送方式である、組み合わせテレビ方式でよく見られました。画面を拡大して見ると、色のついた点が混ざり合っている様子が確認できました。次に、「色の違い」とは、表示される色が本来意図した色とは全く異なる色になってしまう現象です。これは、撮影時の照明環境や、表示機器の色設定などが原因で発生します。例えば、白い服が青みがかって表示されたり、オレンジ色の夕焼けが赤色で表示されたりする場合などが色の違いの例です。色の違いは、機器の色調整機能で補正できる場合もありますが、撮影時の適切な照明設定が重要です。これらの色のずれは、映像の見栄えを損なうだけでなく、伝えたい情報が正しく伝わらない可能性もあります。例えば、医療現場で患部の色を正確に診断する必要がある場合や、製品の色味を正確に伝える必要がある場合など、色のずれは重大な問題を引き起こす可能性があります。そのため、動画制作においては、色のずれを最小限に抑えるための工夫が欠かせません。高画質が求められる現代において、正しい色を再現することは、動画の品質を高める上で非常に重要です。
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動画の色を正しく表示!カラーバーの役割

色の検査信号であるカラーバーは、テレビ番組や動画を作るときに、機器の調整や色の確認をするために使われています。画面には色のついた帯が並んで表示され、それぞれの帯の色は決まった信号の強さに対応しています。この信号を使うことで、画面に映る色が正しいか、明るさや暗さが適切かを確認できます。カラーバーは、カメラの性能を調べたり、編集する道具の色設定を調整したり、様々な場面で使われています。例えば、撮影現場では、カメラマンがカラーバーを使ってカメラの色合いを調整し、映像全体の色調を整えます。また、編集作業では、異なるカメラで撮影された映像の色を合わせるためにカラーバーが使われます。さらに、放送局では番組を流す前に必ずカラーバーを送り出し、受け取る側の機械が正しく調整されているかを確認しています。カラーバーは、大きく分けて二種類あります。一つは、白黒から様々な色まで段階的に変化する帯で構成されたもので、明るさや色の濃淡を確認するのに適しています。もう一つは、赤、緑、青、黄色、水色、紫などの原色や中間色が並んだもので、色の正確さを確認するのに役立ちます。家庭用のテレビでも、設定画面でカラーバーを表示させて調整することができます。画面の色がおかしいなと感じた時は、カラーバーを表示させて調整することで改善される場合があります。このように、カラーバーは高画質の映像を作るために欠かせない道具です。カラーバーを正しく使うことで、映像の質を高め、視聴者に美しい映像を届けることができます。普段目にすることは少ないかもしれませんが、カラーバーは私たちが見ている映像の裏側で活躍しているのです。
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クロスカラー:虹色のちらつき対策

画面に現れる色のちらつき、気にしたことありますか?時折、テレビを見ていると、虹色の変な光が見えることがあります。特に、細かい縞模様の服を着ている人を見ると、その縞模様に沿って虹色の光が走っているように見えることがあります。これは「色のまじり」と呼ばれる現象で、一体どうして起こるのでしょうか?テレビ放送では、送られてくる映像信号の中に、明るさを表す信号と色を表す信号が一緒に入っています。この2つの信号をうまく分けて、正しく表示することで、私たちはテレビで色鮮やかな映像を見ることができるわけです。ところが、この2つの信号を分ける作業がうまくいかない場合があります。例えば、明るさの信号の中に色の信号が少し混ざってしまう、そんなことが起きるのです。色の信号が明るさの信号に混ざってしまうと、本来は明るさだけを表すはずの信号に色が付いてしまいます。これが色のまじりの原因です。まるで絵の具を混ぜるように、明るさの信号に色が混ざってしまい、虹色のちらつきとして見えてしまうのです。特に、細かい縞模様のように明るさが急に変わる部分で、この現象はよく起こります。白黒の細かい縞模様を想像してみてください。白と黒が交互に並んでいるので、明るさが急に変化していますよね。この明るさの急な変化が、色の信号と間違われてしまうのです。その結果、白黒の縞模様のはずなのに、虹色の光が走っているように見えてしまうのです。例えば、白黒の細かい縞模様の服を着た人がテレビに映ると、縞模様の部分に虹色のちらつきが現れやすいです。これは、白黒の縞模様の明暗の差が、色の信号だとテレビが勘違いしてしまうからです。本当は存在しない色が、画面上に現れてしまうのです。このように、色のまじりは、信号をうまく処理できなかったために起こる現象と言えます。
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クリアビジョンとは?高画質テレビ放送の秘密

「鮮明画質テレビ」という呼び名でも知られるクリアビジョンは、従来のテレビ放送の画質を格段に向上させた、新しいテレビ放送の仕組みです。正式名称は「拡張解像度テレビ」と言います。これまで主流だった仕組みと比べて、クリアビジョンにはどのような利点があるのでしょうか。まず挙げられるのは、画面のちらつきが大幅に軽減される点です。従来のテレビ放送では、画面が細かくちらついて見えることがありましたが、クリアビジョンではこのちらつきが抑えられ、目が疲れにくく、快適な視聴体験を実現しています。次に、「ゴースト」と呼ばれる画面のノイズが除去されている点も大きな特徴です。ゴーストとは、受信状況が悪い場合に画面に二重に像が映ったり、ぼやけて見える現象のことです。クリアビジョンでは、このゴーストの発生を抑えることで、より鮮明でクリアな映像を実現しています。まるで現実世界を見ているかのような、リアルで自然な映像を体験できるでしょう。クリアビジョン放送は、現在普及している従来型のテレビでも視聴できます。しかし、クリアビジョン対応のテレビで視聴した場合のみ、画質向上効果とゴースト除去効果を最大限に体験できます。クリアビジョン対応テレビは、その高画質を生かすため、画面の大きさや明るさ、色の鮮やかさなど、さまざまな点で工夫が凝らされています。既に一部の番組はクリアビジョン方式で放送されており、今後ますます高画質テレビ放送への移行が進んでいくと予想されます。クリアビジョン対応テレビを手に入れて、より鮮明で美しい映像の世界を堪能してみてはいかがでしょうか。
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動画編集の基礎:カラーフレーム

動画を滑らかに、そして正しく色を再現するために、「色の枠組み」という重要な仕組みがあります。これは、アナログのビデオ信号、特に日本では馴染み深いNTSC方式で使われる考え方です。テレビ画面に映る映像は、実は色の情報だけでなく、様々な信号が組み合わさってできています。画面の明るさを表す信号に加え、色の種類を示す特別な信号も送られています。これをバースト信号と呼びます。この信号のおかげで、私たちは様々な色を画面上で楽しむことができるのです。さらに、画面の水平方向の位置を正しく表示するために、水平同期信号というものも送られています。実は、この水平同期信号の中にバースト信号が含まれているのです。これらの信号は規則的なタイミングで送られており、このタイミングの関係こそが「色の枠組み」の肝となります。色の枠組みは、二つの画面、つまり画面が更新される最小単位であるフィールドを四つ分をひとまとまりとして考えます。このまとまりの間で、バースト信号の位相と呼ばれるタイミングが90度ずつずれていくように設計されています。この位相のずれが色の再現性に大きく影響します。動画編集を行う際、この色の枠組みを無視して映像をつなぎ合わせると、つなぎ目で色がずれたり、ちらついたりするといった問題が発生することがあります。これを防ぐためには、編集作業において色の枠組みの連続性を維持することが非常に重要です。色の枠組みをきちんと理解し、編集作業に活かすことで、色ずれやちらつきがなく、高品質な映像作品を作り上げることができるのです。
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動画の滑らかさ:525Pとは?

かつて、家庭で楽しむ映像の質を高めようと、様々な技術開発が行われてきました。その中で、525Pと呼ばれるテレビジョン方式は、より鮮明で滑らかな映像を映し出すことを目指して開発されました。この方式の名称にある「525」という数字は、画面を構成する走査線の数を表しています。画面を525本の細かい線で描き出すことで、きめ細やかな映像表現を可能にしたのです。さらに、この525本の走査線は、1秒間に60回も画面全体を描き直します。この描き直しの速さによって、映像のちらつきを抑え、より滑らかな動きを表現することができました。この525Pという技術は、「クリアビジョン」という高画質テレビの信号源として採用され、従来のアナログ放送よりも格段に鮮明な映像を提供することを目指していました。しかし、525本の走査線の全てが、実際に映像を表示するために使われているわけではありません。画面に映し出される絵の情報を持つ走査線は483本で、残りの走査線は同期信号などの制御信号に使われています。これらの制御信号は、テレビ画面に映像を正しく表示するために欠かせない役割を担っています。また、画面の縦横比は169で、現在広く普及しているワイド画面にも対応しています。このように、525Pは高画質化に向けて様々な工夫が凝らされた技術でした。現在では、更なる高画質化が進み、より鮮明でリアルな映像体験が可能になっていますが、かつての技術開発の積み重ねが、今日の高画質映像の礎となっていると言えるでしょう。
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480i映像の基礎知識

「画面の解像度」とは、画面に表示できる細かさのことで、画素の数で表されます。水平方向の画素数と垂直方向の画素数を掛け合わせたものが総画素数であり、この数が大きいほど、きめ細やかな映像を表示できます。今回取り上げる「480i」という映像方式も、この画面の解像度を表すものです。「480i」の「480」は、垂直方向の走査線の数が480本であることを示しています。「i」は「インターレース」の略で、特殊な表示方法を意味します。インターレース方式では、画面を一度に表示するのではなく、まず奇数番目の走査線を描き、次に偶数番目の走査線を描くという手順を繰り返します。全体を一度に表示するのではなく、交互に表示することで、少ないデータ量で滑らかな動きを表現しようとする技術です。水平方向の画素数は約720画素で、480本の走査線と合わせて、全体の解像度が決まります。480iは以前は地上デジタル放送などで広く使われていましたが、技術の進歩とともに、より高解像度な映像方式が主流になりつつあります。例えば、ハイビジョン(高精細度)放送で使われる解像度は、垂直方向の走査線が720本や1080本と、480iよりもずっと多くなっています。そのため、480iの映像を大きな画面で表示すると、どうしても映像がぼやけて見えたり、ノイズが目立ったりすることがあります。近年は4Kや8Kといった、さらに高解像度の映像方式も普及しつつあり、480iのような以前の映像方式は、次第に姿を消しつつあります。より美しい映像を求める時代の流れとともに、高解像度化はますます進んでいくでしょう。