音声 動画の音声：単一録音とは
単一録音とは、その名の通り、複数の音を一つのまとまりとして録音する手法です。たとえて言うなら、たくさんの川が最終的に一つの大きな海に流れ込むようなものです。コンサート会場で考えてみましょう。ステージ上にいくつもの楽器があり、それぞれにマイクが向けられています。ドラム、ギター、ベース、ボーカル、それぞれの音が別々のマイクで拾われています。しかし、これらの音を最終的に一つの録音装置、一つの音声の道筋にまとめて記録するのが単一録音です。つまり、複数のマイクを使っていても、出来上がる音源は一つなのです。かつて、ラジオ放送が主な情報伝達手段であった時代には、この単一録音が主流でした。なぜなら、ラジオ受信機は基本的に一つのスピーカーから音を出すからです。一つのスピーカーから自然な音声を届けるには、単一録音が最適でした。現代でも、この手法は様々な場面で使われています。例えば、ナレーション。聞き手に音の方向を意識させる必要はありません。大切なのは声の内容が明瞭に伝わることです。そのため、シンプルに一つのまとまった音として録音する単一録音が選ばれます。特定の音響効果なども同様です。波の音、風の音など、音の方向性を強調する必要がない場合は、単一録音が効果的です。単一録音の利点は、編集作業が比較的簡単なことです。複数の音声データを扱う必要がないため、作業効率が向上します。また、データ容量も小さくなるため、記録媒体の容量を節約できます。限られた記憶容量の中で多くの音声を扱わなければならない場合、これは大きなメリットとなります。このように、簡便で扱いやすい点が単一録音の魅力と言えるでしょう。
