
リニア編集:過去の映像編集技術
動画を編集する技術は、今の時代には欠かせないものとなっています。誰もが気軽に携帯電話などで動画を撮り、編集して、みんなに見せることができるようになりました。しかし、動画編集のこれまでの道のりを振り返ると、以前はとても手間と時間がかかる作業でした。その一つに、リニア編集と呼ばれる方法があります。今はもう使われていない技術ですが、今のノンリニア編集の土台を作った大切な技術です。リニア編集とは、ビデオテープに記録された映像を、順番に別のテープに複製していく編集方法です。ビデオデッキを複数台使い、必要な場面を元のテープから探し、それを順番に新しいテープに録画していきます。この方法は、まるで糸を紡ぐように、順番に編集していくことから「リニア(直線)」と呼ばれています。編集したい場面を探すのも、正確にコピーするのも、大変な技術が必要でした。もし編集の途中でミスをすると、最初からやり直しになることもありました。リニア編集には、いくつか良い点もありました。当時は、コンピューターの性能が低かったため、リニア編集の方が画質が良かったり、処理速度が速かったりしました。また、特殊効果を加えるための専用の機器もあり、それらを組み合わせて、様々な映像表現が可能でした。しかし、リニア編集には、不便な点も多くありました。まず、編集作業に時間がかかることが挙げられます。必要な場面を探すだけでも時間がかかり、編集作業全体に多くの時間を要しました。また、一度編集した部分を修正するのが難しいという点も大きなデメリットでした。さらに、ビデオテープや編集機器などの費用が高額だったため、誰でも気軽に動画編集ができるわけではありませんでした。今のノンリニア編集とは異なり、リニア編集は編集の自由度が低いという課題もありました。ノンリニア編集のように、自由に場面を並べ替えたり、効果を加えたりすることが難しかったのです。これらのデメリットから、コンピューター技術の発達とともに、リニア編集は徐々に使われなくなっていきました。