distortion

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画質

歪み:映像を歪ませる3つの要因

動画を撮影する際に、レンズは光を集めて映像を作り出す大切な役割を担っています。しかし、レンズを通る光は、レンズの形や素材の影響を受けて、いつも正確に像を結ぶとは限りません。この現象はレンズの収差と呼ばれ、その中の一つに歪みがあります。歪みとは、本来真っすぐな線が曲がって写ってしまう現象のことです。歪みには、主に二つの種類があります。一つは糸巻き型歪みで、画面の中心から外側に向かって、放射状に線が膨らんで見える歪みです。まるで糸巻きのように見えることから、この名前が付けられています。もう一つは樽型歪みで、画面の中央が膨らんで樽のように見える歪みです。これらの歪みは、建物や風景など、直線を含む被写体を撮影する時に特に目立ちやすく、映像の現実感を損なうことがあります。高性能なレンズは、歪みを少なくするように作られていますが、完全に無くすことは難しいです。そのため、撮影後に編集ソフトを使って歪みを直す作業を行うことがあります。歪みの大きさは、レンズの焦点距離や絞りの値によっても変わります。焦点距離とは、レンズの中心から像を結ぶ点までの距離で、絞り値とは、レンズに入る光の量を調整する値のことです。撮影する状況に合わせて、これらの設定を適切に行うことが大切です。最近では、コンピューターを使った歪み補正の技術が進歩していて、撮影後の編集で歪みをうまく直せるようになってきています。ソフトには、歪みを自動で認識して補正してくれる機能が搭載されているものもあり、手軽に歪みを補正することが可能です。これらの技術を活用することで、より自然で美しい映像を作り出すことができます。
音声

クリッピング歪み:音質劣化の要因

音を扱う上で、波形の頂点が平らになる「クリッピング歪み」は避けられない問題です。まるで山の頂上を切り落としたように、波形の一部が欠損することで、音質が大きく損なわれてしまいます。この歪みは、本来滑らかに変化するはずの音の波が、ある一定の大きさ以上で強制的に一定値にされてしまうことで発生します。例えるなら、決められた大きさの容器に、それ以上の量の液体を入れるようなものです。容器から溢れた液体は失われてしまい、元の量を復元することはできません。音の場合も同様に、限界を超えた情報は失われ、二度と元には戻りません。これが、クリッピング歪みによって音が劣化してしまう原因です。この歪みは、録音機器や拡声装置などで音量を上げすぎた際に起こりやすく、耳障りで不快な音割れとして知覚されます。楽器の演奏で弦を強くかき鳴らしすぎたり、歌手の声が大きすぎる場合など、音源自体が歪みの原因となることもあります。また、ミキシングやマスタリングといった音声編集の過程でも、不適切な処理を行うことでクリッピング歪みが生じる可能性があります。クリッピング歪みは、一度発生してしまうと修復が難しいため、歪みを発生させないための予防策が重要です。録音時には、入力レベルを適切に調整し、常に余裕を持った録音を行うように心がける必要があります。また、音声編集ソフトなどを使用する際も、音量の調整には注意を払い、常に波形の状態を確認しながら作業を進めることが大切です。心地よい音質を保つためには、クリッピング歪みを理解し、適切な対策を行うことが不可欠と言えるでしょう。