
動画編集の基礎:カラーフレーム
昔のテレビ放送、特に白黒からカラーに移り変わる頃の技術に、カラーフレームというものがあります。カラーフレームは、色の情報を正しく伝えるための仕組みで、アナログ放送で使われていたNTSC方式という仕組みに欠かせないものでした。画面に映る映像は、実は細かい線を描いていくことで表現されています。この線を走査線と呼び、電子銃という装置が画面を上から下へとなぞるようにして、光を当てて描いていました。この走査線を描くタイミングを合わせるために、水平同期信号という信号が使われていました。それと同時に、色を正しく表示するために、色の基準となる信号であるバースト信号も送られていました。NTSC方式では、このバースト信号と水平同期信号の関係が非常に重要でした。画面は、走査線が奇数番目のフィールドと偶数番目のフィールドの2つで1つの画面(フレーム)を作っています。さらに、このフレームが2つ集まって、4つのフィールド(フィールド1、2、3、4)で1つのまとまりを構成します。これがカラーフレームです。それぞれのフィールドにつけられたバースト信号は、90度ずつ位相をずらして送られています。フィールド1を基準にすると、フィールド2は90度、フィールド3は180度、フィールド4は270度ずれています。そして、次のフィールド1に戻ると、また元の位相に戻ります。この4つのフィールドを1セットにすることで、色の情報を安定して伝えることが可能になりました。4フィールドで1周するので、全体で360度となり、元の状態に戻るわけです。ちょうど円を一周するように、位相が変化していきます。昔のブラウン管テレビでは、このカラーフレームに合わせて色を再現していました。最近のデジタル放送では、このような仕組みはあまり意識されなくなりましたが、昔のビデオテープなどを扱う際には、このカラーフレームの理解が重要になります。編集などで映像を扱う際、カラーフレームを意識しないと、色がおかしくなってしまうことがあるからです。