
動画の音声:モノラルとステレオ
「片耳で聴くということ」とは、読んで字のごとく、片方の耳だけで音を聴くことです。専門的には「モノラル」と呼ばれ、左右どちらか一方の耳だけで音を捉える状態を指します。たとえば、片耳タイプの受話器で通話したり、イヤホンを片方だけ使って音楽を聴いたりする時が、これに当たります。普段私たちが音を聴く時は、無意識に両耳を使っています。これは「両耳聴」つまり「バイノーラル」と呼ばれ、左右の耳に届く音の僅かな時間差や強弱の差を脳が処理することで、音の発生源がどこにあるのか、どれくらい離れているのかを認識することができます。鳥のさえずりが木の上の方から聞こえてくる、背後から車が近づいてくるといった情報を瞬時に把握できるのは、この両耳聴のおかげです。一方モノラルでは、左右の音の差がないため、音の方向や距離、空間的な広がりを感じることが難しくなります。目を閉じて音を聴いた時、音源の位置が掴みにくいのはこのためです。しかし、動画の音声においては、必ずしも両耳聴である必要はありません。ナレーションや解説、セリフ中心の動画であれば、モノラルでも内容を理解する上で支障はありません。むしろ、音の方向に意識を向けさせないことで、音声の内容に集中してもらう効果も期待できます。動画の内容や目的に合わせて、モノラルとバイノーラルを使い分けることが大切です。