binaural

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音声

動画の音声:モノラルとステレオ

「片耳で聴くということ」とは、読んで字のごとく、片方の耳だけで音を聴くことです。専門的には「モノラル」と呼ばれ、左右どちらか一方の耳だけで音を捉える状態を指します。たとえば、片耳タイプの受話器で通話したり、イヤホンを片方だけ使って音楽を聴いたりする時が、これに当たります。普段私たちが音を聴く時は、無意識に両耳を使っています。これは「両耳聴」つまり「バイノーラル」と呼ばれ、左右の耳に届く音の僅かな時間差や強弱の差を脳が処理することで、音の発生源がどこにあるのか、どれくらい離れているのかを認識することができます。鳥のさえずりが木の上の方から聞こえてくる、背後から車が近づいてくるといった情報を瞬時に把握できるのは、この両耳聴のおかげです。一方モノラルでは、左右の音の差がないため、音の方向や距離、空間的な広がりを感じることが難しくなります。目を閉じて音を聴いた時、音源の位置が掴みにくいのはこのためです。しかし、動画の音声においては、必ずしも両耳聴である必要はありません。ナレーションや解説、セリフ中心の動画であれば、モノラルでも内容を理解する上で支障はありません。むしろ、音の方向に意識を向けさせないことで、音声の内容に集中してもらう効果も期待できます。動画の内容や目的に合わせて、モノラルとバイノーラルを使い分けることが大切です。
音声

バイノーラル録音:臨場感あふれる音の世界

人間の頭の形をした模型に小さな録音機を取り付けて録音するやり方を、バイノーラル録音といいます。この録音方法では、人間の耳と同じように音を捉えることができるため、まるでその場にいるかのような、臨場感あふれる音を再現することができます。バイノーラル録音では、ダミーヘッドと呼ばれる人間の頭部の模型を使います。この模型には、人間の耳の穴と同じ位置に小さな録音機が埋め込まれています。あるいは、人間の耳の構造を模倣して作られた特別な録音機を使うこともあります。このようにして録音された音は、左右の耳に届く音のわずかな時間差や強弱、音色の変化などを忠実に再現しています。私たちの脳は、これらの微妙な違いを無意識のうちに認識し、音源の位置や距離、空間の広がりなどを把握しています。ですから、バイノーラル録音で収録された音を聴くと、まるで自分がその場にいるかのような感覚を味わうことができるのです。例えば、背後から車が通り過ぎる音をバイノーラル録音で聴くと、本当に背後から車が近づいてきて、通り過ぎていくように感じます。また、鳥のさえずりを聴けば、まるで頭上を鳥が飛び交っているかのような臨場感を体験できます。森の中を歩いている音を聴けば、木の葉の擦れる音や小川のせせらぎなど、周囲の音の様子が手に取るように分かります。このバイノーラル録音の技術は、音楽を聴くだけでなく、映画やゲーム、仮想現実といった様々な分野で活用されています。より臨場感のある音を提供することで、視聴者やプレイヤーは作品の世界に深く入り込み、より豊かな体験を楽しむことができるようになります。まるで物語の中に自分が存在しているかのような、そんな感覚を味わえるのも、バイノーラル録音の大きな魅力の一つです。