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色の搬送波:映像に色を乗せる仕組み

かつて、画面に色がなかった時代のテレビ、白黒テレビが主流でした。その後、技術の進歩とともに、鮮やかな色彩で映像を映し出すカラーテレビが登場しました。しかし、カラーテレビの普及には大きな課題がありました。それは、既に多くの家庭に普及していた白黒テレビとの互換性をどのように保つかということです。つまり、カラーテレビ放送が始まっても、白黒テレビでも変わらずに映像を見られるようにする必要がありました。この課題を解決するために開発されたのが、色の信号を運ぶ搬送波、色副搬送波という技術です。簡単に言うと、白黒テレビで使われていた明るさの信号に、色の情報を別の電波に乗せて重ねることで、両方のテレビに対応できるようにしたのです。色副搬送波は、色の情報を伝えるための専用の乗り物のようなものです。カラーテレビはこの乗り物に積まれた色の情報を読み取って、画面に色を再現します。一方、白黒テレビは色の情報を読み取る機能を持っていないため、この乗り物を無視して、明るさの情報だけを読み取ります。このようにして、一つの電波に白黒とカラー両方の情報を含ませることで、両方のテレビで映像を映し出すことを可能にしました。色副搬送波は、まるで手紙を届ける郵便配達員のような役割を果たします。カラーテレビは配達された手紙を開けて色情報を読み取り、白黒テレビは手紙を受け取らずにそのままにします。このように、色副搬送波によって、白黒テレビとカラーテレビの共存が可能になり、テレビ放送の円滑な移行を実現したのです。