
インターレース走査:飛び越し走査の仕組み
画面に動画や静止画を描くとき、普通は上から下へ順番に線を引いていくと思われがちですが、昔は少し変わった方法が使われていました。それが「インターレース」と呼ばれる技術です。この「インターレース」は、一本ずつ線を引くのではなく、まず奇数番目の線、つまり1行目、3行目、5行目…というように、画面の半分だけ線を引きます。これを「奇数フィールド」と呼びます。画面全体はまだ半分しか描かれていませんが、次に偶数番目の線、つまり2行目、4行目、6行目…というように残りの半分を描きます。これが「偶数フィールド」です。こうして、奇数フィールドと偶数フィールドを交互に、まるで織物のように組み合わせることで、一つの画面が完成します。人間の目はこの切り替えが速いため、二つのフィールドが組み合わさって一つの画面として認識されます。なぜこのような複雑な方法が使われていたのでしょうか?それは、昔のテレビ放送では、電波で送れる情報量に限りがあったためです。インターレース方式を使うと、一つの画面を描くのに必要な時間を半分に減らすことができます。つまり、限られた情報量でも、動画をスムーズに表示することができたのです。現代では技術が進歩し、情報量を気にせず動画を送れるようになりました。そのため、インターレース方式はあまり使われなくなりましたが、昔の映像を扱う際には、この仕組みを理解しておくと便利です。