
動画圧縮の仕組み:Bピクチャー
動画を扱う際、その容量の大きさはしばしば問題となります。高画質になればなるほど、動画のデータ量は増え、保存するための記録装置の容量を圧迫したり、ネットワークを通じて送受信する際の負担も大きくなります。この問題を解決するために用いられるのが「動画圧縮」です。動画圧縮とは、特別な技術を用いて動画のファイルサイズを小さくする処理のことを指します。動画には、実はたくさんの無駄な情報が含まれています。例えば、風景を撮影した動画を考えてみてください。背景にある山や建物は、数秒間ほとんど変化しないはずです。また、連続したフレーム(動画を構成する一枚一枚の画像)の間にも、ほとんど同じ情報が繰り返されています。前のフレームと次のフレームで、人物が少し動いただけならば、背景の大部分は変化していないでしょう。このような時間的に変化の少ない部分やフレーム間で重複する情報は「冗長性」と呼ばれ、動画圧縮ではこの冗長性を取り除くことでファイルサイズを小さくしているのです。動画圧縮には、大きく分けて二つの種類があります。一つは「非可逆圧縮」と呼ばれるもので、画質をある程度犠牲にする代わりにファイルサイズを大幅に縮小できます。これは、人間の目には気づきにくい情報を削ることで実現されています。もう一つは「可逆圧縮」で、こちらは画質を全く落とさずに圧縮を行います。ただし、非可逆圧縮に比べると圧縮率は低くなります。用途に合わせて、どちらの方法を選ぶかが重要になります。このように、動画圧縮は、動画データの容量を小さくすることで、記録装置の容量節約やネットワーク負荷の軽減を実現する重要な技術です。インターネットで動画をスムーズに見られるのも、スマートフォンでたくさんの動画を保存できるのも、この動画圧縮技術のおかげと言えるでしょう。動画配信サービスやビデオ会議、動画共有サイトなど、動画圧縮は現代社会の様々な場面で利用されており、なくてはならない技術となっています。