現像

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撮影技術

動画制作の迅速化:ラッシュとは?

「撮影が終わってすぐに見る、出来たてほやほやの映像」のことを、映像制作の業界では「ラッシュ」と呼びます。この言葉は、英語の「rush(突進する、急ぐ)」という言葉が由来です。昔はフィルムで撮影していたため、撮影した映像を確認するには、フィルムを現像する必要がありました。この現像作業には時間がかかるのが普通でしたが、監督や制作チームは、撮影がうまくいっているか、映像に問題はないかなどをすぐに確かめたいものです。そこで、現像作業をできるだけ早く行い、撮影したフィルムをすぐに確認できるようにしたことから、「ラッシュ」と呼ばれるようになりました。フィルム時代は、ラッシュを見ることはとても大切な作業でした。撮影した映像が監督のイメージ通りか、役者の演技に問題はないか、照明や音声に不具合はないかなど、様々なことをラッシュで確認します。もし問題があれば、次の日の撮影で修正したり、撮り直したりすることができました。ラッシュを見ることで、撮影の進み具合を把握し、最終的な完成作品のイメージを固めていくことができたのです。今では、映像の撮影はデジタル方式が主流となり、撮影した映像はすぐに確認できるようになりました。そのため、フィルム時代の「現像を急ぐ」という意味でのラッシュは必要なくなりました。しかし、「撮影素材」という意味で「ラッシュ」という言葉は今も使われています。撮影したばかりの、編集前の映像データのことを「ラッシュ」と呼ぶのです。フィルム時代の「ラッシュ」は、迅速さを表す言葉でしたが、デジタル時代でも、撮影現場の熱気や映像制作のスピード感を感じさせる言葉として、「ラッシュ」という言葉は生き続けています。