
動画と音声の同期、TLS方式のご紹介
動画と音声を別々に記録し、後から合わせる技術、それが動画制作の現場でよく使われる「TLS方式」です。この方法では、まず映像はビデオテープ記録機(VTR)に、音声は多重録音機(MTR)にと、それぞれ別の機械を使って記録します。別々に録音することで、それぞれの特性に合った高品質な記録が可能になるのです。では、後でどうやって映像と音声をぴったり合わせるのでしょうか?そのために「時間符号」と呼ばれる共通の時間を記録します。この時間符号は、例えるなら映像と音声の両方に刻まれた共通の時計のようなものです。この時計を合わせることで、映像と音声を正確に同期させることができるのです。TLS方式以前は、映像と音声は同時に同じ機械に記録されていました。しかし、この方法では音質の向上が難しく、編集の自由度も低いという課題がありました。TLS方式の登場によって、高音質の音声を追求できるようになり、また映像と音声を別々に編集できるため、編集作業の効率も飛躍的に向上しました。特に、音楽番組や映画など、音質が重視される作品では、このTLS方式が大きな力を発揮します。コンサートの臨場感や映画の繊細な音響効果を忠実に再現するために、TLS方式は欠かせない技術となっているのです。現代の映像制作において、TLS方式は高品質な作品を支える重要な基盤技術と言えるでしょう。