動画撮影

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撮影技術

残光現象:動画の鮮明さを左右する要因

残光現象とは、物が私たちの目から見えなくなった後にも、その物の像がしばらくの間、目に残る現象です。まるで物の影が薄れていくように、だんだん消えていくのが特徴です。これは、私たちの目が光にどう反応するかと深く関係しています。私たちの目は、光を感じ取る特別な細胞を持っています。この細胞に光が届くと、細胞は刺激されて、脳に伝える信号を作ります。この信号が、私たちが物を見ているという感覚を作り出します。光が消えても、この細胞の興奮はすぐにはなくならず、しばらくの間続きます。これが、残光現象として私たちが感じるのです。カメラで写真を撮る時にも、同じようなことが起こります。カメラには、光を受け取る部分があります。光を受けると、その部分が電気を帯びます。光がなくなっても、この電気はすぐにはなくならず、しばらくの間残ります。これも残光現象で、写真や動画の質に影響を与えることがあります。例えば、暗い場所で明るいものを見ると、しばらくの間、その明るいものの像が目の中に残ります。花火の光が尾を引くように見えるのも、残光現象によるものです。また、映画や動画は、たくさんの静止画を連続して表示することで動いているように見せています。一枚一枚の絵には、前の絵の残光の影響が残っているため、滑らかに動いているように見えるのです。残光現象は、私たちが普段あまり意識することはありませんが、映像を見るときには、なくてはならない現象と言えるでしょう。テレビやパソコンの画面、スマートフォンの画面など、私たちが毎日見ている映像の多くは、この残光現象を利用して作られています。もし残光現象がなければ、映像はちらついて見にくくなってしまうでしょう。
撮影技術

動画撮影の落とし穴:ローリングシャッター現象

近頃では、携帯電話や写真機などで動画を撮るのがとても簡単になりました。誰でも、どこでも気軽に動画を記録できるようになりましたが、それと同時に、動画に妙な歪みが生じる場面に遭遇する機会も増えたのではないでしょうか。例えば、飛行機のプロペラが波を打つように見えたり、ギターの弦が斜めに曲がって映ったり、走っている車がぐにゃりと歪んで見えたり。このような現象は、動画を記録する仕組みが原因で起こるもので、「ローリングシャッター現象」と呼ばれています。動画は、実は一枚一枚の写真を連続して表示することで、動いているように見せているものです。写真機で写真を撮る時と同じように、動画を撮影する際にも、撮像素子に光を取り込んで画像を作っています。静止画の場合は、撮像素子全体に一度に光を取り込みますが、動画の場合は、撮像素子の上から下へ、一行ずつ順番に光を取り込んでいきます。この光を取り込む走査線のことを「シャッター」と呼びますが、一行ずつ順番に走査していく様子が、巻き取り式のシャッターを連想させることから、「ローリングシャッター」と呼ばれています。このローリングシャッター方式では、画像全体を捉えるのにわずかな時間差が生じるため、動きの速い被写体を撮影すると、歪みが生じてしまうのです。例えば、上部を撮影している間に被写体が移動すると、下部を撮影する際には被写体は既に別の場所に移動しているため、結果的に被写体が斜めに歪んで映ってしまうのです。回転するプロペラが波打つように見えるのも、この時間差が原因です。ローリングシャッター現象は、特に動きの速い被写体を撮影する場合に顕著に現れます。この現象を避けるためには、高速シャッターを使用したり、全体を一度に読み出すグローバルシャッターを搭載したカメラを使用するなどの対策が必要です。携帯電話などで動画を撮影する際には、このローリングシャッター現象が起こる可能性があることを理解し、被写体や撮影方法を工夫することで、歪みの少ない動画を撮影するように心がけましょう。
画質

動画の黒つぶれを防ぐ撮影テクニック

動画の暗い部分が真っ黒になり、細部が見えなくなってしまう現象を、黒つぶれと言います。夜の景色を撮影した時に、人物の黒い服のしわや、部屋の中の家具の形が分からなくなってしまう、といったことが起こります。黒つぶれが起きると、映像がのっぺりとした印象になり、奥行きや立体感が失われてしまいます。見ている人に違和感を与えてしまうため、動画の質を下げる大きな原因となります。黒つぶれが起きる原因は様々です。撮影に使う機器の性能が不足している場合や、撮影時の明るさの設定が適切でない場合、動画編集ソフトの使い方に問題がある場合などが考えられます。また、動画を小さく軽くする処理を行う際にも、黒つぶれが悪化してしまうことがあります。質の高い動画を作るためには、黒つぶれについて理解し、それを防ぐ方法を知っておくことが大切です。黒つぶれは、一度起きてしまうと、直すのが非常に難しい現象です。編集である程度補正することはできますが、完全に元通りにすることはできません。そのため、撮影時に適切な設定を行うことが重要になります。具体的には、明るさの設定を調整したり、照明器具を使って明るさを補ったりすることで、黒つぶれを防ぐことができます。撮影前に、画面の明るさを確認することを心がけましょう。また、被写体の明るさだけでなく、背景の明るさにも気を配ることが大切です。背景が明るすぎると、被写体が暗く見えてしまい、黒つぶれの原因となることがあります。背景の明るさを調整することで、被写体をより鮮明に映し出すことができます。さらに、撮影機器によっては、明るさの幅を広げる機能が備わっているものがあります。これらの機能を活用することで、黒つぶれを防ぎ、より自然で美しい映像を撮影することができます。
撮影技術

動画のブレを徹底解説!

動画のブレとは、見ている人にまるで船に乗っている時や、地震が起きた時のような揺れを感じさせる現象です。画面全体が波打つように不安定に見えるため、見ている人は不快に感じたり、映像の内容が理解しにくくなってしまうことがあります。例えば、美しい景色を撮影したとします。せっかくの美しい風景も、画面が揺れていれば、その美しさが十分に伝わりません。まるで夢を見ているようにぼんやりとした印象になり、感動も薄れてしまいます。また、説明や案内など、重要な情報を伝える動画で画面が揺れていると、見ている人は内容に集中できず、伝えたいことが正しく伝わりません。説明の内容が頭に入ってこなかったり、誤解を生む可能性も出てきます。このように、動画のブレは見ている人に良い印象を与えないため、動画を作る上では、ブレをなくす、あるいはできるだけ少なくすることがとても大切です。動画のブレは、主にカメラを手で持って撮影する時に起こりやすいです。カメラをしっかりと固定する道具、例えば三脚などを使えば、ブレを少なくすることができます。しかし、手持ちで撮影するからこそ表現できる臨場感や躍動感もあります。例えば、事件を追う緊迫した報道番組や、音楽に合わせて歌ったり踊ったりする様子を写した映像などで、わざとブレを生かして、スピード感や臨場感を出す手法はよく使われています。このように、動画のブレは、単なる撮影ミスではなく、映像表現の一つとして使うこともできるのです。
カメラ

動画に動きを!パンの使い方

パンとは、撮影機材を固定したまま、水平方向にゆっくりと回転させて撮影する技術のことを指します。あたかも人が首を左右に振って景色を見渡しているかのような、自然な映像を作り出すことができます。この技術は、動画制作において様々な場面で活用され、映像表現に奥行きと動きを与えます。例えば、雄大な山脈や広がる大海原といった、広大な風景の撮影を考えてみましょう。静止した映像だけでは、そのスケールの大きさを伝えるのは難しいかもしれません。しかし、パンを使うことで、景色が徐々に画面に現れ、その広がりを効果的に表現することができます。まるで自分がその場にいるかのような臨場感を視聴者に与えることができるのです。また、動いている被写体を追いかける場合にも、パンは非常に役立ちます。例えば、マラソン大会で走者を追いかけるシーンを想像してみてください。パンを使えば、走者をフレーム内に収めたまま、滑らかに撮影することができます。急な動きや画面の揺れを抑えることで、視聴者は走者の動きに集中し、レースの緊張感をより強く感じることができるでしょう。さらに、パンは場面転換をスムーズに行うためにも使われます。ある場面から次の場面へ、自然な流れで映像をつなげることで、視聴者は違和感なく物語に入り込むことができます。例えば、部屋全体の様子を見せた後、窓の外の景色へと視点を移動させる際に、パンを使うと滑らかで自然な転換を実現できます。パンは速度や動きの幅を調整することで、様々な効果を生み出すことができます。ゆっくりとしたパンは穏やかな印象を与え、速いパンは緊迫感を演出します。また、動きの幅を小さくすることで、被写体への集中を高めることができます。このように、パンは動画制作において基本でありながら奥の深い技術と言えるでしょう。少しの工夫で映像表現の幅が大きく広がるため、ぜひ試してみてください。