ブラウン管

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撮影機器

波形モニター:映像制作の必須ツール

波形モニターとは、動画の明るさや色の情報を波の形で表示する機械です。画面に現れる波の形を見ることで、映像の明るさや色の強さを正確に把握できます。まるで映像を数字で見ているように、細かい部分までチェックできるので、高画質の映像を作る上で欠かせない道具です。この波形モニターは、テレビ放送が始まった頃から使われてきました。長い歴史の中で改良を重ねられ、今では液晶画面で波形を表示するものが主流です。放送局はもちろん、撮影現場や編集室、インターネットで動画を配信する会社など、映像を扱うあらゆる場所で活躍しています。波形モニターを使う一番のメリットは、映像の品質を細かく管理できることです。人の目では見分けにくいわずかな明るさや色の違いも、波形モニターならはっきりと分かります。例えば、白飛びや黒つぶれといった映像の明るさのトラブルも、波形を見ることで簡単に発見し、修正できます。色の鮮やかさやバランスも数値として確認できるので、常に一定の画質を保つことが可能です。また、波形モニターは音の波形を表示する機能を持つものもあります。映像だけでなく音の情報も同時に確認できるため、映像と音を合わせた全体のバランス調整がスムーズに行えます。まさに映像制作の現場で働く技術者にとって、波形モニターは目と耳の代わりとなる、なくてはならない大切な道具と言えるでしょう。このように、波形モニターは高品質な映像を作る上で重要な役割を果たしています。映像制作に携わる人にとって、波形モニターの使い方を学ぶことは、より良い映像を作るための第一歩と言えるでしょう。
規格

映像のすべて:アンダースキャンの謎

居間にあるテレビ画面、見慣れた映像の中に隠された秘密があることをご存じでしょうか?私たちが毎日見ているテレビ画面、特に少し前のブラウン管テレビの時代には、画面の縁の部分が枠で隠れてしまい、本来映し出されるべき映像の一部が見えなくなっていたのです。これはテレビを作る過程で生じる個体差、つまり同じ型のテレビでも一つ一つ微妙に異なる部分があったり、テレビ局から送られてくる電波の状態が常に完璧とは限らないことへの対策でした。電波の状態が悪いと画面が不安定になるのを防ぐため、あらかじめ少し大きめの映像を作り、家庭のテレビではその中央部分だけが見えるようにしていたのです。つまり、家庭で見えていた映像は、実は全体像の一部を切り取ったものに過ぎませんでした。映画館の大きなスクリーンで映画を見るとき、家庭で見るのとは違う迫力を感じることがありますよね。それは画面の大きさだけでなく、家庭では隠れてしまっていた映像の情報が、映画館ではきちんと映し出されていることも理由の一つかもしれません。この隠された映像は、私たちが映像をきちんと理解する妨げになることもありました。映像制作者が意図した構図や色彩、画面全体の雰囲気などが、家庭のテレビでは一部欠けた状態で伝わるため、制作者の真意が正しく伝わらなかった可能性もあるのです。まるで額縁が大きすぎて絵の一部が隠れてしまっている絵画のように、隠されていた映像の情報は、私たちが映像を心から楽しむための邪魔になっていたと言えるでしょう。今では薄型テレビが主流になり、このような問題は少なくなりましたが、映像の仕組みを知ることで、より深く映像を楽しむことができるかもしれません。
画質

動画のちらつきを抑えるには?

動画を見るときに画面がちらちらと点滅するように見える現象、いわゆる「ちらつき」は、見ている人に不快感を与えるだけでなく、動画全体の質を大きく落とす原因となります。このちらつきは、様々な原因で起こりますが、中でも特に多い原因として、カメラのシャッター速度の設定ミス、照明の周波数、使われている画面の種類などが挙げられます。まず、シャッター速度が適切でない場合について説明します。シャッター速度とは、カメラのシャッターが開いている時間のことです。この時間が短すぎると、光を取り込む量が少なくなり、画面が暗くなったりちらついたりすることがあります。逆に、長すぎると、動画がブレやすくなります。特に、蛍光灯やLED照明の下で撮影する際は、照明の周波数とカメラのシャッター速度の関係が重要です。これらの照明は、電気の周波数に合わせて明滅を繰り返しています。この明滅の周期とカメラのシャッター速度が合わないと、画面の一部が明るかったり暗かったりして、ちらついて見えるのです。適切なシャッター速度は、照明の種類や撮影環境によって異なりますが、一般的には照明の周波数の逆数の倍数に設定することが推奨されます。次に、照明の周波数について説明します。日本では、東側の地域では50ヘルツ、西側の地域では60ヘルツの電気を使っています。この周波数の違いによって、照明の明滅する回数も変わってきます。そのため、同じカメラ設定でも、地域によってちらつきの発生状況が異なる場合があります。最後に、画面の種類について説明します。少し古いタイプのブラウン管画面を撮影すると、画面の更新速度とカメラの撮影速度が合わないことで、縞模様のようなちらつきが発生することがあります。これは、ブラウン管画面が上から下へと順次画面を書き換えているためです。画面のちらつきを防ぐためには、カメラの撮影速度を画面の更新速度に合わせる必要があります。その他にも、ストロボを使った撮影や、時間の流れを早送りで表現するタイムラプス撮影など、特別な撮影方法を使う際にも、ちらつきが発生する可能性があります。これらの原因を理解し、適切な対策を講じることで、ちらつきのない質の高い動画を作ることができます。
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動画の基礎知識:ラスタとは

皆さんが毎日見ているテレビやパソコンの画面、一体どのような仕組みで映像を表示しているのでしょうか?実は、画面に映る映像は、無数の小さな点の集まりで表現されているのです。これらの点は、まるで細かいタイルのように、規則正しく画面上に並んで配置されています。一つ一つの点は光ったり消えたり、色の濃淡を変化させることで、私たちは滑らかな動画や鮮やかな静止画を見ることができるのです。この画面の仕組み、特に昔のブラウン管テレビで使われていた技術は「ラスタ」と呼ばれています。ブラウン管テレビの中には電子銃と呼ばれる装置があり、そこから電子ビームという目に見えない光線が画面全体に向けて放射されます。画面には蛍光体という光る物質が塗られており、電子ビームが当たるとこの蛍光体が発光する仕組みです。電子ビームは、画面の左上から右に向かって水平に移動し、一行が終わると少し下に移動してまた左から右へと移動を繰り返します。ちょうど熊手が地面を掃いていくように、規則正しく画面全体を走査していくのです。この電子ビームの走査線によって、蛍光体が光ったり消えたりすることで映像が映し出されていました。そして、この熊手が地面を掃く様子に似ていることから、この画面の仕組みは「ラスタ」と呼ばれるようになったのです。現代のテレビやパソコンでは、液晶ディスプレイという技術が使われています。液晶ディスプレイは、ブラウン管テレビのように電子ビームを走査する方式ではありません。しかし、画面を構成する小さな点が規則正しく並んでいるという点では、ラスタ形式の表示方法を受け継いでいると言えるでしょう。液晶ディスプレイでは、それぞれの点が電気信号によって明るさや色を個別に制御することで、鮮明な映像を表示しています。このように、技術は進化しても、画面の基本的な仕組みは受け継がれ、より高精細で美しい映像を実現しているのです。