ビットストリーム

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動画データの基礎知識:ビットストリーム

私たちが毎日見ている動画は、実は静止画の連続体です。パラパラ漫画のように、何枚もの絵を短い間隔で次々に表示することで、動いているように見せているのです。一枚一枚の絵は「コマ」と呼ばれ、このコマが一秒間に何枚表示されるかを「フレームレート」と言います。フレームレートが高いほど、滑らかに動いているように見えます。これらのコマ一枚一枚は、小さな色の点が集まってできています。まるで点描画のように、赤、緑、青の三色の光の点が組み合わさることで、様々な色を表現しています。これらの色の点は「画素」と呼ばれ、画素数が多ければ多いほど、きめ細かい映像になります。高画質の動画は、この画素数が非常に多いので、より鮮明でリアルな映像を見ることができるのです。これらの画素の情報は、すべて数字に変換されます。色の明るさや種類などが、0と1の組み合わせで表現されているのです。この数字の列は膨大な量になり、まるで川のせせらぎのように流れ続けます。このデータの流れを「ビットストリーム」と呼びます。コンピュータはこのビットストリームを読み取り、私たちが見ることができる映像に変換しているのです。つまり動画とは、無数の静止画と、それを表現する膨大な数字の集まりなのです。まるで魔法のように動いているように見える動画も、実は緻密な計算に基づいて作られている、デジタル技術の結晶なのです。
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D-VHS:デジタル時代のVHS

1990年代後半、テレビ放送の世界は大きく変わり始めました。高画質で高音質のデジタル放送への期待が高まっていたのです。画面はより鮮明に、音はよりクリアに、まるで現実世界を見ているかのような体験が、お茶の間に届くのも間近と思われていました。しかし、この夢の実現には、大きな壁が立ちはだかっていました。それは、デジタル放送の膨大なデータ量を記録するための技術です。当時の記憶媒体、たとえばハードディスクなどは、容量が小さく、価格も非常に高額でした。高画質・高音質のデジタル放送を記録するには、容量が足りず、仮に大容量の記憶媒体があったとしても、とても一般家庭で購入できるような値段ではありませんでした。この記憶媒体の問題は、デジタル放送時代到来への大きな足かせとなっていたのです。このような状況の中、1995年、日本ビクターは画期的な技術を発表しました。それがD-VHSです。D-VHSは、当時広く普及していたVHSの技術を応用して開発されました。VHSカセットテープという、人々にとって馴染み深い媒体を使うことで、デジタル放送の録画を可能にしたのです。高価な専用機器を新たに購入する必要がなく、既存のVHSの仕組みを活かすことで、コストを抑え、一般家庭にも手が届く価格帯を実現しました。D-VHSの登場は、デジタル放送時代への橋渡しとなる画期的な出来事でした。人々は、使い慣れたVHSカセットテープで、高画質・高音質のデジタル放送を録画し、楽しむことができるようになったのです。これは、まさに新しい時代の幕開けを告げる、大きな一歩でした。