
デジタル音声の魅力:高音質の世界
音を数字で表す技術、それがデジタル音声です。私たちの耳に届く音は、空気の振動でできています。この空気の振動は滑らかに変化するもので、これを「類推信号」と呼びます。コンピュータはこの類推信号を直接扱うことができません。そこで、コンピュータが理解できる形、つまり数字の形に変換する必要があります。この変換の過程で重要な役割を果たすのが、「標本化」と「量子化」という二つの処理です。標本化とは、一定の時間ごとに音の大きさを記録する作業です。例えるなら、映画のフィルムのように、連続した動きをコマ送りの静止画として記録するようなものです。この記録する時間の間隔が短いほど、元の音に忠実なデジタル音声を作ることができます。次に、量子化を行います。量子化とは、標本化で記録した音の大きさを、決められた段階の数値に当てはめる作業です。音の大きさを、あらかじめ用意された数値の階段に当てはめていくイメージです。この階段の段数が多ければ多いほど、より細かな音の変化を表現できます。こうして標本化と量子化を経て、空気の振動という類推信号は、0と1の数値で表現されるデジタル信号に変換されます。デジタル化された音は、コンピュータで自由に編集したり、複製したり、保存したりすることが可能になります。今では、音楽を聴く以外にも、映像作品の音声や電話、テレビ会議など、様々な場面でデジタル音声技術が活用されています。まさに、現代社会を支える重要な技術と言えるでしょう。