
映像の歪み:スキュー歪とは?
回転式の磁気テープ録画再生機(らせん走査方式)で再生した時に、特に画面の上の方に現れやすい特有のゆがみについて解説します。このゆがみは、画面に映るはずのまっすぐな線が、ゆるやかなカーブを描いてしまう現象で、弓なりに似ていることから「スキュー歪み」と呼ばれています。この現象は、映像信号の周波数のずれを自動的に調整する機能(自動周波数制御)を持つ画面表示装置を使うと、より目立ちやすくなります。画面の上の端が、本来は垂直であるべきものが、左もしくは右側に傾いてしまい、建物や電柱などの直線が、本来とは異なる形で表示されてしまうのです。自動周波数制御機能は、映像信号の周波数の変動を補正して、安定した映像を表示するためのものですが、スキュー歪みが発生すると、この機能がうまく働かず、かえって歪みを強調してしまうことがあります。スキュー歪みの原因は、録画再生機の内部にある回転する磁気ヘッドとテープの微妙なずれにあります。録画時に磁気ヘッドがらせん状に記録していくのですが、再生時にこのらせんの軌跡を正確にたどれないと、映像信号の時間的なずれが生じ、画面上に歪みとして現れるのです。特に画面の上部は、磁気ヘッドの走査線の開始点に当たるため、この歪みの影響を受けやすいと言えます。このような歪みは、映像全体の印象を損ねてしまうため、高品質な映像を保つためには、スキュー歪みを理解し、その発生原因と対策を講じることが大切です。例えば、録画再生機の定期的な点検や調整を行うことで、スキュー歪みの発生を抑制し、より自然で美しい映像を楽しむことができるでしょう。