シャッタースピード

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撮影技術

動画のシャッタースピード:表現を操る技

動画を撮影する際に、「シャッター速度」は映像の明るさや動きの見え方に大きく影響する大切な要素です。このシャッター速度とは、カメラ内部にある光を取り込むための幕のような部品、シャッターが開いている時間のことを指します。この幕が開いている時間が長ければ長いほど、たくさんの光がカメラの中に入り込み、撮像素子と呼ばれる光を記録する部品に届きます。逆に、シャッターが開いている時間が短ければ短いほど、取り込まれる光の量は少なくなります。光を取り込む量によって、出来上がる映像の明るさが変わってきます。シャッター速度が速いと、光を取り込む時間が短いため、映像は暗くなります。逆にシャッター速度が遅いと、光を取り込む時間が長いため、映像は明るくなります。シャッター速度は、動きの表現にも関わってきます。例えば、動きの速い被写体を撮影する場合、シャッター速度が遅いと、被写体が動いている間に光が取り込まれるため、被写体がブレて写ってしまいます。反対に、シャッター速度を速くすると、被写体の動きが止まったように見えます。これを利用して、水しぶきが空中で止まっているように見せたり、レーシングカーが一瞬止まっているかのような迫力ある映像を撮影したりすることが可能です。動画撮影では、一般的にシャッター速度はフレームレートの逆数の2倍に設定することが多いです。例えば、フレームレートが1秒間に30コマ(30fps)の場合、シャッター速度は1/60秒に設定するのが基本となります。これは、人間の目で見た自然な動きの表現に近いためです。しかし、意図的に動きをぼかしたり、止めたりする効果を狙う場合は、この基本から外れてシャッター速度を調整することで、様々な映像表現を生み出すことができます。
撮影技術

残像現象:動画の滑らかさを損なう原因

ものの姿かたちが、目に見えなくなった後にも、しばらくの間、目の前にあるように感じられることを残像といいます。まるで、姿を消したものの、かすかな影がしばらくの間、漂っているように見えます。この不思議な現象は、私たちの目や写真機、動画機などで起こります。私たちの目は、光を捉えると、それを電気信号に変えて脳に送ります。そして、脳はその信号を解釈して、ものを見ていると感じます。光が目に入ってから、脳がそれを認識するまでには、ごくわずかな時間差があります。明るい光をしばらく見つめた後、目を閉じると、その光の形がしばらくの間、目の前に残っているように見えることがあります。これは、目の奥にある網膜という部分で光を感じ取る細胞が、光に反応した後に、元の状態に戻るまでに少し時間がかかるために起こります。写真機や動画機にも、目と同じように光を電気信号に変える部分があります。この部分を撮像素子といいますが、ここでも光を受けて電気信号に変換する時に、前の映像の影響がわずかに残ることがあります。写真の場合、この残像はあまり目立ちませんが、動画の場合、ものが動くと残像も一緒に動くため、映像がぼやけたり、ぎこちない動きに見えたりすることがあります。特に、速く動くものを撮影する時は、残像の影響が大きくなり、なめらかな映像にするのが難しくなります。残像は、私たちの目が光をどのように捉えているか、また、写真機や動画機がどのように映像を作り出しているかを理解する上で、重要な現象です。この現象を理解することで、より自然で美しい映像を作るための工夫をすることができます。
カメラ

動画撮影の自動露出:明るさ調整の仕組み

カメラに備わっている『自動露出』という機能は、映像の明るさを自動で整えてくれる便利な仕組みです。正式には『自動露出制御』と呼ばれますが、一般的には『自動露出』と略して呼ばれることが多いです。まるで人間の目と同じように、周囲の明るさに合わせて映像の明るさを自動で調整してくれるのです。撮影場所の明るさをカメラが判断し、レンズに入る光の量を自動で調整することで、ちょうど良い明るさの映像を作り出します。この機能のおかげで、撮影者は明るさの設定に頭を悩ませる必要がなくなり、構図作りや被写体の動きに集中することができます。特に、カメラ操作に慣れていない初心者にとっては、この自動露出は非常に頼りになる機能と言えるでしょう。例えば、刻々と光の状態が変化する屋外での撮影や、明るい場所と暗い場所を行き来しながら撮影する場合でも、自動露出が活躍してくれます。常に変化する周囲の明るさに合わせて、カメラが自動的に明るさを調整してくれるので、撮影者は安心して撮影に臨むことができるのです。では、自動露出はどのようにして明るさを調整しているのでしょうか。カメラの中には、光の量を測るセンサーが内蔵されています。このセンサーが光の量を感知し、その情報に基づいてレンズの絞りとシャッタースピードを自動的に調整することで、適切な明るさを実現しているのです。絞りはレンズに入る光の量を調整する部分であり、シャッタースピードはセンサーに光が当たる時間を調整する部分です。適切な明るさを得るためには、これらのバランスが重要になります。複雑な計算をカメラが瞬時に行うことで、撮影者は難しい設定を意識することなく、手軽に美しい映像を記録することができるのです。まさに、自動露出は、カメラにとってなくてはならない重要な機能の一つと言えるでしょう。