
NTSC方式を詳しく解説
「エヌ・ティー・エス・シー方式」とは、ひとことで言うと、かつて日本でテレビ放送で使われていた色の見え方や信号を送るやり方の決まりのことです。正式には「全国テレビジョン方式委員会」の頭文字をとって、そう呼ばれています。この委員会は、アメリカでカラーテレビ放送のやり方を決めるために作られました。この方式のすごいところは、白黒テレビとの相性が良かったことです。カラー放送が始まっても、白黒テレビを持っている人でもそのまま番組を見ることができました。もちろん、白黒テレビでは色の情報は分からず、白黒の映像として映りましたが、新しいテレビを買わなくても見られるというのは当時としては画期的でした。画面のちらつきを抑える工夫もされていました。画面は毎秒30枚の絵を次々に切り替えることで動いているように見せているのですが、この切り替えの速さと画面の明るさを調整することで、ちらつきを少なくしていました。しかし、電波の状態が悪いと、色が変わってしまったり、画面がちらついたりすることがありました。エヌ・ティー・エス・シー方式は、日本だけでなく、アメリカ、カナダ、メキシコなど、多くの国で使われていました。しかし、技術の進歩とともに、よりきれいな映像で、たくさんの機能を持つデジタル放送が登場しました。そのため、日本では2011年にアナログ放送が終わり、エヌ・ティー・エス・シー方式の放送も見られなくなりました。今はもうテレビ放送では使われていませんが、昔のビデオテープやDVDには、この方式で録画された映像が残っていることがあります。ですから、昔の映像作品を見るときには、知っておくと役に立つ知識です。また、テレビ放送の歴史を学ぶ上でも、重要な方式です。