イメージセンサー

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撮影技術

動画撮影の落とし穴:ローリングシャッター現象

近頃では、携帯電話や写真機などで動画を撮るのがとても簡単になりました。誰でも、どこでも気軽に動画を記録できるようになりましたが、それと同時に、動画に妙な歪みが生じる場面に遭遇する機会も増えたのではないでしょうか。例えば、飛行機のプロペラが波を打つように見えたり、ギターの弦が斜めに曲がって映ったり、走っている車がぐにゃりと歪んで見えたり。このような現象は、動画を記録する仕組みが原因で起こるもので、「ローリングシャッター現象」と呼ばれています。動画は、実は一枚一枚の写真を連続して表示することで、動いているように見せているものです。写真機で写真を撮る時と同じように、動画を撮影する際にも、撮像素子に光を取り込んで画像を作っています。静止画の場合は、撮像素子全体に一度に光を取り込みますが、動画の場合は、撮像素子の上から下へ、一行ずつ順番に光を取り込んでいきます。この光を取り込む走査線のことを「シャッター」と呼びますが、一行ずつ順番に走査していく様子が、巻き取り式のシャッターを連想させることから、「ローリングシャッター」と呼ばれています。このローリングシャッター方式では、画像全体を捉えるのにわずかな時間差が生じるため、動きの速い被写体を撮影すると、歪みが生じてしまうのです。例えば、上部を撮影している間に被写体が移動すると、下部を撮影する際には被写体は既に別の場所に移動しているため、結果的に被写体が斜めに歪んで映ってしまうのです。回転するプロペラが波打つように見えるのも、この時間差が原因です。ローリングシャッター現象は、特に動きの速い被写体を撮影する場合に顕著に現れます。この現象を避けるためには、高速シャッターを使用したり、全体を一度に読み出すグローバルシャッターを搭載したカメラを使用するなどの対策が必要です。携帯電話などで動画を撮影する際には、このローリングシャッター現象が起こる可能性があることを理解し、被写体や撮影方法を工夫することで、歪みの少ない動画を撮影するように心がけましょう。
撮影機器

動画撮影の要、CCDカメラとは?

動画の美しさは、どのようにして生まれるのでしょうか? その秘密は、CCDカメラの仕組みに隠されています。 CCDカメラは、従来のテレビカメラとは異なり、半導体を使った特別な部品で映像を捉えます。この部品は、小さな板のような形をしていて、その表面には、光を感じる無数の小さなセンサーが、整然と並んでいます。カメラのレンズを通ってきた光は、このセンサーに当たります。すると、光が当たった強さに応じて、センサーが電気信号を出します。強い光が当たれば強い電気信号、弱い光なら弱い電気信号を出すのです。この電気信号の一つ一つが、実は映像の色の濃淡や明るさを表す情報となります。これらの電気信号は、数字のデータに変換され、記録されます。そして、この記録されたデータが後で読み取られることで、動画として再生されるのです。CCDカメラの心臓部とも言えるこの半導体部品は、高画質を実現するための重要な役割を担っています。センサーが光を電気信号に変換する能力、つまり感度が高いため、かすかな光の違いも捉えることができます。そのため、鮮明でノイズ(ざらつき)の少ない、美しい映像を作り出すことができるのです。さらに、CCDカメラは色の再現性にも優れています。人間の目で見たままの自然な色を、忠実に再現することができるため、よりリアルで美しい映像となります。近年、動画制作の現場では、高画質映像への期待がますます高まっています。CCDカメラは、そうした時代の要請に応える、無くてはならない存在と言えるでしょう。
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動画の画質を決める有効画素数の重要性

動画を撮る時、写りの良さを決める大切な要素の一つに「有効画素数」があります。画素とは、まるで点描画のように、細かい点が集まってデジタルの映像を作る、その一つ一つの点のことです。そして有効画素数とは、カメラの中にある、光を電気信号に変える部品「イメージセンサー」の中で、実際に映像を写すために使われている画素の数のことを指します。よく似た言葉に「総画素数」というものがありますが、この二つは違います。総画素数は、イメージセンサー全体にある画素の総数を表すのに対し、有効画素数は、その中で実際に映像を作るために使われる画素の数なので、総画素数よりも数が少なくなります。これは、イメージセンサーの端っこの方の画素は、レンズの特性でどうしても歪みが生じたり、余計な電気信号(ノイズ)の影響を受けやすかったりして、綺麗な映像を撮るのに向いていないためです。カメラは、これらの画素を映像として使うのではなく、周りの画素の情報から映像を補正するために利用したり、完全に切り捨てたりします。そうして実際に映像に使われる画素だけが、有効画素数として数えられるのです。つまり、有効画素数が多いほど、きめ細かい、高精細な映像を撮ることが出来ます。例えば、細かい模様や髪の毛の一本一本まで鮮やかに映し出すことができ、よりリアルで美しい映像表現が可能になります。逆に有効画素数が少ないと、映像がぼやけてしまったり、細部が潰れてしまったりすることがあります。ただし、有効画素数だけが画質を決めるわけではありません。レンズの性能や、映像を処理する技術なども、写りの良さに大きく関わってきます。ですから、美しい映像を撮るためには、有効画素数だけでなく、カメラ全体の性能を総合的に見て判断することが大切です。