
動画表現の幅を広げるアングル・ショット
動画を制作する上で、撮影する場所を決めるのと同じくらいカメラを置く位置やレンズの向きは映像の印象を決める大切な要素です。同じものを写しても、カメラの位置が変わるだけで、全く違う雰囲気や気持ちを表現できます。たとえば、人を撮影する場合を考えてみましょう。目の高さで水平にカメラを構える撮り方は、誰にとっても見慣れた自然な印象を与えます。ニュース番組のインタビューなどでよく使われるのも、この撮り方が視聴者に安心感を与えるからです。一方、高い位置から見下ろすように撮影すると、写っている人は小さく弱々しく見えます。守ってあげたくなるような気持ちや、場合によっては見下したような印象を与えてしまうこともあります。逆に、低い位置から見上げるように撮影すると、写っている人は大きく力強く見えます。ヒーローものなどでよく使われるこのアングルは、登場人物の勇敢さや力強さを強調する効果があります。このように、カメラの位置を工夫することで、見ている人に伝えたい気持ちやメッセージをしっかりと届けることができます。カメラの位置を変えるだけで、同じ映像でも全く違う意味を持つようになるのです。さらに、カメラを傾けて撮影するテクニックも、独特の視覚効果を生み出し、映像に動きや緊張感、不安感などを加えることができます。水平、垂直を意識した構図は安定感や安心感を与えますが、あえて傾けることで、見ている人に違和感や不安を感じさせることも可能です。カメラの位置や角度は、ただ技術的に操作するだけでなく、映像で何を表現したいかを考える上でとても大切な要素です。カメラワーク一つで映像の持つ力は大きく変わります。ぜひ色々な角度から撮影を試してみて、それぞれの効果の違いを確かめてみてください。