
アジマス調整でクリアな音を実現
録音再生機の中核部品である磁気ヘッド。この部品は、音の記録や再生、不要な音を消す役割を担っています。この磁気ヘッドには「ギャップ」と呼ばれる細い隙間があり、このギャップとテープの動く向きとの間の直角からのズレを「アジマス」と言います。このアジマスは、音質に大きな影響を与えます。例えるなら、筆で線を引く時、筆をまっすぐ立てて引けばシャープな線が引けますが、傾けて引くと線がぼやけてしまいます。アジマスがずれている状態は、筆を傾けて線を引いている状態に似ています。特に高い音ほどこの影響を受けやすく、アジマスがずれると高い音が弱くなったり、音が濁って聞こえたりします。カセットテープやオープンリールテープを使う録音再生機では、このアジマス調整がとても大切です。録音する時と再生する時のアジマスが少しでもずれると、録音した時と同じ音質で再生することができません。録音時と再生時のアジマスのずれによって、せっかく録音した音が本来の鮮やかさを失ってしまうのです。アジマスを正しく調整することで、澄み切った歪みのない、本来の音の輝きを取り戻すことができます。近年、これらの録音再生機が見直され、より良い音を求める人が増えています。だからこそ、アジマス調整の大切さを再認識し、正しい調整方法を学ぶことは、これらの録音再生機の魅力を最大限に味わうために欠かせません。丁寧に調整された音は、まるで演奏家の息遣いまで感じられるかのような、臨場感あふれる体験を与えてくれるでしょう。