つぶし

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撮影技術

動画制作のつぶし技法

映像の世界では、昼間の景色を夜のように見せる「つぶし」という手法があります。まるで魔法のように、明るい場所で撮った映像が夜の闇に包まれたかのような雰囲気になります。この手法は、カメラのレンズに光を取り込む量を調整する「絞り」という機能を使います。絞りを強く絞り込むことで、光が少なくなり、画面全体が暗くなります。これが夜の雰囲気を作り出す第一歩です。さらに、「露出」という、光の量と時間、そして光の感度を調整する要素も重要です。露出を少なく、つまり光をあまり入れないようにすることで、画面はさらに暗さを増します。この時、絞りを絞り込むことで、近くの物から遠くの物まで、全てにピントが合ったような状態になります。これは被写界深度が深くなると言いますが、この効果も夜の静けさや奥行き感を表現するのに役立ちます。最近のカメラは性能が上がり、夜でも明るく鮮明な映像が撮れるようになりました。そのため、「つぶし」の技法は以前ほど使われなくなりました。しかし、あえてこの技法を使うことで、独特の雰囲気を作り出すことができます。例えば、昔の映画のようなノスタルジックな表現や、現実にはない幻想的な世界観を作り出すことができます。まるで時間が止まったかのような静寂感や、どこか懐かしさを感じさせる映像は、見る人の心に深く刻まれることでしょう。「つぶし」は、単に映像を暗くするだけでなく、物語に深みと味わいを加える、表現豊かな技法なのです。