フランジャー:独特の音響効果の秘密

フランジャー:独特の音響効果の秘密

動画を作りたい

先生、『フランジャー』ってゆらゆらした音を作る機械だっていうのはなんとなくわかるんですけど、どういう仕組みで音が揺れているんですか?

動画制作専門家

良い質問だね!フランジャーは、音を少しだけ遅らせて、元の音と混ぜることで音を揺らしているんだ。例えるなら、お風呂場で声を出すと、少し遅れて壁に反射した音が返ってくるよね?あのイメージに近いよ。

動画を作りたい

なるほど!お風呂で声を出すと、確かに音が変わって聞こえます!でも、音を遅らせるだけで、どうして揺れるんですか?

動画制作専門家

遅らせる時間は固定ではなく、微妙に変化させているんだ。この変化が、音の波の山と谷をずらして、干渉を起こす。この干渉が、ジェット機が飛んでいくときのような『うねり』として聞こえるんだよ。

flangerとは。

動画を作る上で知っておきたい用語「フランジャー」について説明します。フランジャーとは、音の波の形(時間的なずれ)を調整することで、音が揺れたり回転したりするような効果を生み出す装置のことです。コンピューターで作られた音楽やテクノ系の音楽でよく使われています。

この装置の中には、音を少しの間だけ記憶しておく部品がいくつか入っていて、そのうちの二つを使って、1秒の1000分の1から2000分の1ほどのわずかな時間差を作り出します。そして、片方の音にゆっくりとした波の変化を加えます。この二つの音を混ぜ合わせることで、音の波に細かい山と谷ができて、ゆっくりと変化していくため、ジェット機が通り過ぎるような効果が得られます。

名前の由来は、昔、テープレコーダーの巻き戻し部分にある「フランジ」と呼ばれる部分を手で押さえながら操作することで、この効果を作っていたことに由来しています。

フランジャーとは

フランジャーとは

フランジャーとは、独特の音の揺らぎや回転感を作り出す音声効果、あるいはその効果を生み出す機器のことを指します。まるで上空を勢いよく飛行する飛行機の通過音のような、独特のうねりを持った不思議な音を作り出すことができます。この効果を加えることで、音楽に奥行きと広がりを持たせ、聴く人を非日常的な世界へと誘うことができます。

フランジャーの仕組みは、元となる音信号を複製し、その複製した音信号の再生速度を周期的にわずかに変化させることにあります。この速度変化によって、元となる音と複製された音の間でわずかなずれが生じます。このずれが、うねりのある独特の音色変化を生み出すのです。さらに、この複製された音に元となる音を加えることで、まるで音が重ね合わさったような、独特の厚みと深みが増します。

このフランジャー効果は、様々な楽器の音色に変化を与えることができます。例えば、ギターの音に適用すれば、幻想的な雰囲気を醸し出すことができますし、ボーカルに適用すれば、まるで宇宙空間を漂っているような浮遊感のある効果を生み出すことができます。特に、電子音楽や技術的な要素を取り入れた音楽では、頻繁に用いられています。

フランジャーは、単なる音声効果の一つではなく、楽曲に個性と彩りを加える重要な手法と言えるでしょう。その独特の音色は、聴く人の心を掴み、忘れられない印象を残すことでしょう。フランジャーは、音楽制作において無限の可能性を秘めた、まさに魔法の道具と言えるでしょう。

フランジャーとは

仕組み

仕組み

フランジャーという音響効果の仕組みは、少し複雑ですが、音を重ね合わせることで独特の音の揺らぎを生み出すという基本的な考え方です。

まず、元の音を複製して、二つの同じ音の信号を作ります。次に、片方の信号をほんの少しだけ遅らせます。この遅延時間は1ミリ秒から2ミリ秒という非常に短い時間で、人間の耳ではほとんど認識できない程度のずれです。このわずかな時間差が、フランジャー特有の効果を生み出す鍵となります。

さらに、遅延させた方の信号には、低い周波数の音を周期的に変化させる処理、つまり変調を加えます。この変調によって、遅延時間そのものが一定ではなく、周期的に変化するようになります。

こうして作られた、元の音と、わずかに遅れて変調された音の二つの信号を混ぜ合わせます。すると、二つの音の波が干渉し合い、特定の周波数が強調されたり、逆に弱められたりします。この干渉によって、音の周波数に細かい山と谷が生まれます。まるで、山脈のように周波数が高い部分と、谷のように周波数が低い部分が交互に現れるのです。

そして、変調によって遅延時間が周期的に変化するため、この山と谷の位置も時間とともに移動します。これが、ジェット機が通過する時のような、あるいは波が寄せては返す時のような、独特の音のうねりとなって聞こえるのです。この仕組みによって、音に独特の揺らぎとリズムが加わり、まるで生き物のように音が躍動する効果が得られます。

仕組み

名前の由来

名前の由来

『フランジャー』という独特な響きを持つこの言葉。一体どのような由来があるのでしょうか。その起源は、今よりもずっと昔の、録音機がオープンリール式だった時代にまで遡ります。

オープンリール式の録音機には、『フランジ』と呼ばれる円盤状のパーツがありました。このフランジは、リールと呼ばれる録音テープを巻き取るための円筒形の部品の両端に付いており、テープがリールから外れないように支える役割を担っていました。そして、このフランジが、後に『フランジャー』と呼ばれる音響効果を生み出すきっかけとなったのです。

音を揺らがせる独特の効果を得るために、技術者たちは録音中にフランジを指で軽く押さえるという方法を編み出しました。フランジに圧力を加えると、テープの走行速度がわずかに変化し、その結果、再生される音に揺らぎが生じるのです。この操作をリズミカルに繰り返すことで、独特のうねりのある音を作り出すことができました。これが、フランジャーと呼ばれる音響効果の誕生秘話です。

フランジを操作することで生まれたこの効果は、後に『フランジャー効果』と呼ばれるようになり、その効果を作り出す装置もまた、『フランジャー』と名付けられました。つまり、『フランジャー』という名前は、この音響効果を生み出す操作に由来しているのです。

現代では、計算機技術の進化によって、フランジャー効果は簡単に作り出すことができます。専用の機器だけでなく、録音編集のための様々な道具に、この効果を再現する機能が搭載されています。しかし、その名前の由来を知ることで、アナログ時代の技術者たちの創意工夫や実験精神、そして音への探究心を感じることができるのではないでしょうか。

用語 説明
フランジ オープンリール式録音機の円盤状パーツ。リールからテープが外れないように支える。
フランジャー効果 フランジを指で押さえることでテープ速度を変化させ、音に揺らぎを与える効果。
フランジャー フランジャー効果を作り出す装置、または効果の名称。
現代のフランジャー 計算機技術により、様々な機器でフランジャー効果を再現可能。

使い方

使い方

近年の歌作りでは、楽器を扱う機械だけでなく、机上操作の仕掛けでも揺らぎ効果を簡単に作り出せるようになりました。多くの音響編集机(デジタル音声作業台)には、標準でこの揺らぎ効果が備わっています。

使い方としては、まず音を遅らせる長さや揺れの深さ、揺れの速さを調節することで様々な揺らぎ効果を生み出せます。ほんの少しの音の揺れから、波のように大きくうねる揺れまで、曲の雰囲気や狙いに合わせて細かく調整できます。

音を遅らせる長さを短く設定すると、金属的な響きが加わり、音にきらびやかさを出せます。逆に、音を遅らせる長さを長くすると、ジェット機のような低い響きが生まれ、音に重厚感を与えられます。揺れの深さを大きくすると、揺らぎ効果がよりはっきりとして、曲に動きを与えられます。揺れの速さを変えることで、揺らぎのリズムを調整でき、曲に独特の雰囲気を加えられます。

この揺らぎ効果は、楽器の音だけでなく、歌声にも効果的に使えます。声に独特の浮遊感や広がりを加えることで、幻想的な雰囲気を作り出すことができます。例えば、歌声に揺らぎ効果を加えることで、宇宙空間を漂っているような、または夢の中にいるような、不思議な雰囲気を表現できます。

揺らぎ効果は、様々な音楽の場面で使われています。特に、幻想的な雰囲気を持つ曲や、宇宙をテーマにした曲などでよく使われています。また、激しい曲の中で、一部に揺らぎ効果を使うことで、曲に変化をつけ、より印象的なものにすることもできます。

少しの調整で様々な効果を生み出せるので、色々な組み合わせを試して、自分だけの音作りを見つけてみて下さい。

パラメータ 効果 適用対象 使用例
音を遅らせる長さ (短) 金属的な響き、きらびやかさ 楽器、歌声
音を遅らせる長さ (長) ジェット機のような低い響き、重厚感 楽器、歌声
揺れの深さ (大) 揺らぎ効果がはっきり、曲に動き 楽器、歌声
揺れの速さ 揺らぎのリズム調整、独特の雰囲気 楽器、歌声
全体 浮遊感、広がり、幻想的な雰囲気 歌声 宇宙空間、夢の中

他のエフェクトとの違い

他のエフェクトとの違い

音を加工する効果のことを「音響効果」と呼びますが、数多くの種類が存在します。中でも、独特な響きで音に動きを与えるフランジャーという音響効果は、他の音響効果とよく比較されます。

よく似た音響効果として、まずコーラスが挙げられます。コーラスは、元となる音にわずかに音程をずらした音を重ねることで、音に厚みや広がりを出す効果です。複数人で歌っているような、あるいは音が重なって聞こえるような効果が得られます。フランジャーも同様に、元となる音に遅れて聞こえる音を重ね合わせますが、コーラスよりも遅延時間が短く、さらにこの遅延時間が周期的に変化する点が大きく異なります。この変化によって、独特のうねりが生まれます。

次に、フェイザーとの違いを見てみましょう。フェイザーは、特定の音の高さの成分を強調したり弱めたりすることで、音にうねりや揺らぎを与える効果です。フランジャーも音に揺らぎを与えますが、揺らぎ方が異なります。フェイザーは、どちらかというと滑らかな揺らぎを持っています。一方、フランジャーはジェット機が通過する際の音のように、より金属的で鋭い響きが特徴です。

このように、コーラス、フェイザー、フランジャーはそれぞれ異なる特徴を持っています。これらの音響効果を使い分けることで、楽曲に様々な変化や表情を加えることができるのです。目指す音のイメージに合わせて、最適な音響効果を選びましょう。

音響効果 特徴 フランジャーとの違い
コーラス 元音にわずかに音程をずらした音を重ねることで、音に厚みや広がりを出す。複数人で歌っているような効果。 コーラスは遅延時間が一定。フランジャーは遅延時間が短く、周期的に変化する。
フェイザー 特定の音の高さの成分を強調/弱化することで、音に滑らかなうねりや揺らぎを与える。 フランジャーはフェイザーより鋭く金属的な響きを持つ。
フランジャー 元音に遅れて聞こえる音を重ねる。遅延時間が短く周期的に変化し、独特のうねり(ジェット機のような響き)を生む。