動画の基礎:コマの仕組み

動画の基礎:コマの仕組み

動画を作りたい

先生、「フレーム」って、動画の一コマのことですよね?どういう意味ですか?

動画制作専門家

そうだね、動画を構成するひとつひとつの静止画のことだよ。パラパラ漫画を想像してみて。パラパラ漫画の1枚1枚の絵が「フレーム」にあたるんだ。

動画を作りたい

パラパラ漫画みたいなものなんですね!それで、NTSC方式とか、飛び越し走査とか書いてあるけど、これはどういう意味ですか?

動画制作専門家

NTSC方式っていうのは、昔のテレビ放送で使われていた規格で、1フレームが525本の線で描かれていたんだ。飛び越し走査っていうのは、1フレームを偶数番目の線と奇数番目の線で分けて表示する方法で、ちらつきを抑える効果があったんだよ。

フレームとは。

動画を作る上で『コマ』と呼ばれる用語について説明します。テレビ画面に映る一瞬一瞬の静止画を『コマ』と言います。日本のテレビ方式では、画面は525本の線で描かれています。また、テレビ画面は、奇数番目の線と偶数番目の線を交互に表示することで、一つのコマを作り上げています。この方式を飛び越し走査と言い、奇数番目の線で描かれた画面と偶数番目の線で描かれた画面を合わせて、一つのコマとして扱います。

動画とコマの関係

動画とコマの関係

動画は、まるで絵が動いているかのように見えますが、実はたくさんの静止画を連続して表示することで、動いているように見せているのです。この一枚一枚の静止画のことを「コマ」または「枠組み」と呼びます。パラパラ漫画を思い浮かべてみてください。パラパラ漫画は、少しだけ絵が異なる紙を何枚も重ね、それを素早くめくることで絵が動いているように見せるものです。動画も同じ仕組みで、たくさんのコマを連続して高速で表示することで、滑らかな動きを表現しているのです。

動画を再生する機器には、コマ送りの機能が備わっていることがあります。この機能を使うと、動画を一時停止したり、コマを一枚ずつ進めたりすることができます。コマ送りをしてみると、動画が実は静止画の集まりであることを実感できるでしょう。一枚一枚のコマは静止画ですが、それが高速で切り替わることで、あたかも動いているかのように見えるのです。

動画の種類や設定によって、一秒間に表示されるコマの数は異なります。このコマの数を「枠組みの割合」と呼び、「枠/秒」という単位で表します。例えば、「30枠/秒」と書かれていれば、一秒間に30コマの画像が表示されるという意味です。同様に、「60枠/秒」であれば、一秒間に60コマの画像が表示されます。一般的に、一秒間に表示されるコマの数が多いほど、動画は滑らかに見えます。30枠/秒の動画と60枠/秒の動画を比べてみると、60枠/秒の動画の方がより滑らかで、見ていて自然な動きだと感じるでしょう。これは、コマの数が多いほど、動きが細やかに表現されるためです。

動画の仕組み コマ/フレーム フレームレート 滑らかさ
多数の静止画(コマ)を連続して高速表示 静止画一枚一枚のこと 1秒間に表示されるコマ数(fps) フレームレートが高いほど滑らか
パラパラ漫画と同じ原理 例: 30fps, 60fps コマ数が多いほど動きが細やかに表現される

コマの構造

コマの構造

動画は、まるでパラパラ漫画のように、たくさんの絵が連続して表示されることで動いているように見えます。一枚一枚の絵のことを「コマ」と呼びます。このコマは、実は小さな点の集まりでできています。

テレビ画面を虫眼鏡で拡大して見てみると、赤、緑、青の小さな点が、まるでタイルのように規則正しく並んでいるのがわかります。この小さな点のことを「画素」と呼びます。一つ一つの画素が、それぞれの色情報を持っています。そして、この色のついた画素が無数に集まることで、一つのコマが作られます

コマを構成する画素の数は、動画の「解像度」によって決まります。「解像度」とは、画面の精細さを表す尺度です。例えば、「高画質」とも呼ばれる「フルエッチディー(1920×1080)」という解像度の動画の場合、横方向に1920個、縦方向に1080個もの画素が並んでいます。つまり、一つのコマは、およそ207万個もの画素で構成されていることになります。

画素の数が多ければ多いほど、よりきめ細かく、鮮やかな映像になります。例えば、遠くの景色を撮影した動画を想像してみてください。解像度が低いと、木々や建物がぼやけて一つ一つが判別しづらいことがあります。しかし、解像度が高いと、葉っぱの一枚一枚や建物の細部までくっきりと鮮やかに見えます。まるで、その場にいるかのような臨場感を味わうことができるのです。このように、画素の数は、動画の見え方に大きな影響を与えます。

走査線と飛び越し走査

走査線と飛び越し走査

かつてのテレビ画面をよく見ると、細い横線が何本も並んでいました。これが走査線です。この走査線は、電子銃という装置から発射された電子ビームが、ブラウン管と呼ばれる真空管の表面に塗られた蛍光物質に当たり、発光することで画面を作り出していました。画面の上から下へと電子ビームが走って線を描き、その線が集まって一つの画面、つまり一枚の絵のように見せていたのです。

この走査線の数は、テレビの規格によって決まっており、日本ではNTSCという規格が使われていました。この規格では525本の走査線が用いられていました。ただし、すべての走査線が同時に画面に映っているわけではありませんでした。「飛び越し走査」、別名「インターレース走査」と呼ばれる技法が使われていたからです。

飛び越し走査とは、1枚の絵、つまり1フレームを2つのフィールドに分け、それぞれ異なる走査線を描く方法です。最初のフィールドでは、1番目、3番目、5番目といった奇数番目の走査線を描きます。次のフィールドでは、2番目、4番目、6番目といった偶数番目の走査線を描きます。つまり、1回目の走査で奇数番目の線、2回目の走査で偶数番目の線を描くことで、1枚の絵を完成させているのです。

なぜこのような複雑なことをするのでしょうか?それは、画面のちらつきを抑えつつ、送るデータの量を減らすためです。仮に525本の走査線を一度に全部走査しようとすると、たくさんの情報を一度に送らなければならず、当時の技術では難しかったのです。飛び越し走査では、1度に送る情報量を半分にすることができるため、滑らかな映像を実現しつつ、データ量を抑えることができたのです。このように、飛び越し走査は限られた技術の中で、より鮮明な映像を届けるための工夫だったのです。

項目 内容
走査線 テレビ画面を構成する細い横線
走査線の仕組み 電子銃から発射された電子ビームが蛍光物質に当たり発光し、上から下へ走査して線を描き、画面を作る。
日本の規格(NTSC)での走査線数 525本
飛び越し走査(インターレース走査) 1フレームを2フィールドに分け、奇数番目と偶数番目の走査線を交互に描く技法
飛び越し走査の仕組み 1回目の走査で奇数番目の線、2回目の走査で偶数番目の線を描くことで1枚の絵を完成させる。
飛び越し走査のメリット 画面のちらつきを抑えつつ、送るデータ量を半分に減らすことができる。

コマと動きの滑らかさ

コマと動きの滑らかさ

動画の滑らかさは、一秒間に表示される静止画の数、つまりコマ数(フレームレート)に大きく左右されます。このコマ数は「fps」(フレーム毎秒)という単位で表され、数字が大きいほど、より多くのコマが使われていることを示し、結果として滑らかな動きになります。

例えば、動きが速い場面を考えてみましょう。スポーツの試合などで、ボールが速く移動する様子を低いコマ数で撮影すると、コマとコマの間の動きが記録されずに飛んでしまうため、残像感が生じ、動きがカクカクして見えてしまいます。まるでパラパラ漫画をめくるのが遅いように、動きが繋がらずぎこちない印象になります。

反対に、コマ数を多く、つまり高いフレームレートで撮影すると、コマとコマの間の細かい動きまで記録されるため、残像感は少なくなり、滑らかで自然な動きを表現できます。パラパラ漫画をめくるのが速いように、動きが滑らかに繋がって見えるのです。

映画は伝統的に二十四コマ毎秒で撮影されてきました。これは人間の目には十分な滑らかさで動きを捉えることができると考えられていたからです。限られたフィルムで長い時間を記録する必要があった時代には、二十四コマという数字は費用と効果のバランスが取れた最適な選択でした。

しかし、技術の進歩とともに、動画撮影を取り巻く環境は大きく変わりました。フィルムの制約から解放され、より高画質で滑らかな映像を求める声が高まっています。近年では、三十コマ毎秒や六十コマ毎秒、さらに百二十コマ毎秒といった、より高いフレームレートで撮影される動画も増えてきています。これらの高フレームレート動画は、特に動きの速い場面で、よりリアルで自然な映像体験を提供してくれます。コマ数が増えることでデータ量は増えますが、表現力の向上という点で、高フレームレート動画は今後ますます主流になっていくと考えられます。

コマ数(fps) 動きの滑らかさ 残像感 用途/説明
低い(例: 数fps) カクカクした動き 多い パラパラ漫画の遅いめくり。動きが速い場面では残像が目立ち、ぎこちない印象。
高い(例: 60fps, 120fps) 滑らかで自然な動き 少ない パラパラ漫画の速いめくり。動きの速い場面でも残像が少なく、リアルで自然な表現。
24fps 十分な滑らかさ 少ない 映画の伝統的なフレームレート。フィルム時代の費用と効果のバランスから最適とされた。
30fps, 60fps, 120fps 非常に滑らか 非常に少ない 近年主流になりつつある高フレームレート。動きの速い場面で特に効果を発揮。データ量は増えるが、表現力が向上。

コマ送りで動画を分析

コマ送りで動画を分析

動画を詳しく調べるには、動画編集ソフトなどで、動画を一コマずつ止めて見ることができるコマ送り機能がとても便利です。まるでパラパラ漫画をめくるように、動画の細かい動きを一つずつ確認することができます。これは、スポーツの場面で選手の動きを細かくチェックしたい時や、アニメーションを作る過程で絵の繋がりを確認したい時などに役立ちます。

例えば、野球のバッティングフォームを改善したい場合、スイングの様子をコマ送りで見ていくと、どの時点で体の軸がずれているのか、腕の振りが遅くなっているのかなど、問題点を的確に見つけることができます。また、ゴルフのパッティング練習でも、インパクトの瞬間やボールの転がり方などをコマ送りで確認することで、より正確なフォームを身につけるのに役立ちます。

アニメーション制作では、キャラクターの動きが自然で滑らかに見えるように、コマ送りを活用して絵の繋がりを調整します。一枚一枚の絵の動きやタイミングを細かく確認し、修正を加えることで、生き生きとしたキャラクターの動きを作り出すことができます。

さらに、動画編集ソフトの中には、コマ単位で効果を加えたり、色の濃さを変えたりできるものもあります。例えば、爆発シーンで炎の色をより鮮やかにしたい場合、コマ送りをしながら特定のコマの色だけを調整することができます。また、古い映画の映像を復元する場合にも、傷や汚れのあるコマを一つずつ修正することで、画質を向上させることができます。このように、コマ送りは動画を細かく分析したり、編集したりする上で欠かせない機能と言えるでしょう。

分野 コマ送りの活用方法 メリット
スポーツ 選手の動きをコマ送りで確認 問題点を的確に見つける (例: バッティングフォームの改善、パッティングフォームの改善)
アニメーション制作 絵の繋がりをコマ送りで調整 キャラクターの動きを自然で滑らかにする
動画編集 コマ単位で効果や色の濃さを変更 特定コマの色調整 (例: 爆発シーンの炎の色変更)、画質向上 (例: 古い映画の映像復元)