動画の明るさ:輝度を理解する
動画を作りたい
「輝度」って、照度とどう違うんですか?どちらも明るさを表す単位みたいですが…
動画制作専門家
いい質問ですね。どちらも明るさに関わるものですが、視点が違います。照度は、ある面にどれだけ光が当たっているかを表す単位です。たとえば、机の上にライトを当てたとき、机の表面にどれだけの光が届いているかを表します。
動画を作りたい
じゃあ、輝度はどう違うんですか?
動画制作専門家
輝度は、あるものを見たときに、それがどれくらい明るく見えるかを表す単位です。つまり、机の表面にライトが当たっていて、その机をあなたが見た時に、どれくらい明るく見えるかを表すのが輝度です。照度は光が当たる量、輝度は光って見える明るさということですね。
輝度とは。
動画を作る上で『輝度』という言葉があります。これは、ある方向から見た物の明るさの強さを指します。似た言葉に『照度』がありますが、照度は面積あたりにどれだけの光が届いているかを示すのに対し、輝度はその光を受けて、ある方向から見た時にどれくらい明るく見えるかを示します。単位はカンデラ毎平方メートルです。
輝度とは
明るさというのは、私たちが物を見るときに感じる感覚のことです。この明るさを数値で表したものが、輝度と呼ばれるものです。輝度は、ある面からどれだけの光が出ているかを示す物理的な量で、単位はカンデラ毎平方メートルで表されます。これは、1平方メートルあたりどれだけの光が出ているかを示しています。
私たちがよく目にするもので例えてみましょう。太陽は非常に高い輝度を持っています。そのため、直接見ると眩しくて目を細めてしまうほどです。一方、月は太陽に比べると輝度がずっと低いため、穏やかな光に感じられます。
輝度は、光を出すもの自体だけでなく、光を反射するものからも出ています。白い壁は光をよく跳ね返すので、輝度が高く見えます。反対に、黒い壁は光を吸収するので、輝度が低く見えます。
動画を作る際には、この輝度は映像の見え方に大きく関わってきます。輝度を適切に調整することで、本物のような自然な映像を作ることができます。輝度が高すぎると、白飛びといって、明るい部分が真っ白になってしまい、細かい部分が見えなくなってしまいます。逆に、輝度が低すぎると、黒つぶれといって、暗い部分が真っ黒になってしまい、暗い部分の情報が失われてしまいます。
見る人に映像の内容を正しく伝えるためには、適切な輝度に設定することがとても大切です。例えば、暗い場面で登場人物の表情を伝えたい場合、黒つぶれしないように輝度を調整する必要があります。反対に、明るい場面で空の雲の模様を鮮明に見せたい場合、白飛びしないように輝度を調整する必要があります。
用語 | 説明 | 具体例 |
---|---|---|
明るさ | 物を見るときに感じる感覚 | – |
輝度 | ある面からどれだけの光が出ているかを示す物理量 単位:カンデラ毎平方メートル |
太陽(高輝度)、月(低輝度)、白い壁(高輝度)、黒い壁(低輝度) |
白飛び | 輝度が高すぎて明るい部分が真っ白になり、細かい部分が見えなくなる現象 | – |
黒つぶれ | 輝度が低すぎて暗い部分が真っ黒になり、暗い部分の情報が失われる現象 | – |
照度との違い
明るさを表す言葉として「照度」と「輝度」がありますが、この二つは異なるものです。混同しやすいので、それぞれを詳しく見ていきましょう。
照度は、ある場所にどれだけの光が降り注いでいるかを表す量です。たとえば、太陽光や電灯の光がどれだけ強く当たっているかを数値で示すのが照度です。照度の単位はルクス(lx)で、1平方メートルに1ルーメンの光束が均一に照射されているときの照度が1ルクスと定義されています。照度は光源の強さを示す指標と言えるでしょう。机の上に置いた読書灯の明るさを変えれば、机の面の照度も変化します。
一方、輝度はある面からどれだけの光が出ているかを表す量です。たとえば、テレビの画面や壁、人の顔など、光を反射している面の明るさを数値で示すのが輝度です。輝度の単位はカンデラ毎平方メートル(cd/㎡)です。ある方向から見たとき、その面の明るさがどれくらいかを表します。輝度は物体の明るさを示す指標と言えるでしょう。
同じ明るさの電球で照らされた白い壁と黒い壁を例に考えてみましょう。電球の明るさが同じなので、白い壁と黒い壁の照度は同じです。しかし、白い壁は光をよく反射するため明るく見え、黒い壁は光を吸収するため暗く見えます。つまり、白い壁の輝度は高く、黒い壁の輝度は低いのです。
動画制作においては、被写体の輝度を調整することが重要です。照度が高い、つまり光がたくさんの量を被写体に当てているからといって、必ずしも被写体が明るく見えるとは限りません。被写体の材質や色、光の当たり方によって輝度は変化します。たとえば、黒い服を着た人が明るい場所に立っていても、服自体は暗く見えます。これは黒い服が光を吸収するからです。カメラの設定を調整することで被写体の輝度を適切なレベルにコントロールし、より自然で美しい映像を作り出すことができます。被写体の輝度を調整することで、映像全体の明るさやコントラストを調整し、より見やすく、印象的な映像に仕上げることができるのです。
項目 | 照度 | 輝度 |
---|---|---|
意味 | ある場所にどれだけの光が降り注いでいるか | ある面からどれだけの光が出ているか |
単位 | ルクス (lx) | カンデラ毎平方メートル (cd/㎡) |
指標 | 光源の強さ | 物体の明るさ |
例 | 太陽光や電灯の光 | テレビの画面、壁、人の顔 |
その他 | 1平方メートルに1ルーメンの光束が均一に照射されているときの照度が1ルクス | ある方向から見たときの面の明るさ |
白い壁と黒い壁の例(同じ明るさの電球で照らした場合) | 照度は同じ | 白い壁は輝度が高く、黒い壁は輝度が低い |
動画における輝度の重要性
動画を制作する上で、明るさを適切に調整することは、映像の出来栄えに大きく影響します。明るさ、つまり輝度が映像全体の印象を決める重要な要素となるからです。適切な明るさで表現された映像は、観ている人がまるでその場所に居るかのような感覚、つまり没入感を高める効果があります。
明るすぎる映像は、全体的に白っぽく見えてしまい、本来表現されるべき細かな部分が見えにくくなります。例えば、白い服のしわや、木々の葉の一枚一枚など、本来見えるはずの細かい模様や質感が失われてしまいます。反対に、明るさが足りないと、映像全体が暗くなり、何が映っているのか認識しづらくなります。登場人物の表情や風景の様子など、伝えたい情報が暗闇に隠れてしまい、見ている人に十分に伝わりません。
例えば、晴れた日の風景を撮影する場合、空の明るさが過剰にならないように気を付けなければなりません。空が白く飛んでしまうと、雲の形や空色の微妙な変化が失われ、不自然な空模様になってしまいます。一方、夜間の撮影では、被写体の明るさが不足しないように注意が必要です。被写体が暗闇に溶け込んでしまうと、表情や服装など、重要な情報が失われてしまい、見ている人は何が起きているのか理解しにくくなります。
適切な明るさで映像を作ることは、見ている人に情報を正しく伝え、制作者の意図した感情を伝える上で非常に大切です。そのため、動画制作では、撮影時のカメラの設定を調整したり、編集ソフトの色調整機能を使って、明るさを細かく調整する作業が不可欠です。
明るさ | 影響 | 例 |
---|---|---|
適切 | 没入感の向上、リアルな表現 | – |
明るすぎる | 白っぽく、細部が見えにくい | 白い服のしわ、木々の葉の質感の消失 |
暗すぎる | 暗くて何が映っているか認識しづらい | 登場人物の表情、風景の様子が不明瞭 |
晴天時の空が明るすぎる | 空が白飛びし、雲の形や空色の変化が失われる | 不自然な空模様 |
夜間撮影時の被写体が暗すぎる | 被写体が暗闇に溶け込み、表情や服装などの情報が失われる | 状況の理解が困難 |
輝度調整の方法
動画の明るさを整えることは、映像の印象を大きく左右する大切な作業です。明るすぎる映像は白飛びしてしまい、細部が失われてしまいますし、逆に暗すぎる映像は黒つぶれしてしまい、何が映っているのか分からなくなってしまいます。適切な明るさに調整することで、より見やすく、印象的な映像を作ることができます。
撮影段階での明るさ調整は、カメラの設定で行います。カメラには、明るさを調整するための設定項目がいくつか用意されています。まず、「絞り」は、レンズに入る光の量を調整するものです。絞りを開放すると多くの光が入り明るくなりますが、ピントが合う範囲は狭くなります。逆に絞りを絞ると光は少なくなり暗くなりますが、ピントが合う範囲は広くなります。次に、「シャッター速度」は、センサーに光が当たる時間を調整するものです。シャッター速度が速いと光が当たる時間が短くなり暗くなりますが、動きの速い被写体もぶれずに撮影できます。逆にシャッター速度が遅いと光が当たる時間が長くなり明るくなりますが、動きの速い被写体はぶれてしまいます。最後に「感度」は、センサーが光にどれくらい反応するかを調整するものです。感度を上げると少ない光でも明るく撮影できますが、ノイズと呼ばれるざらつきが目立ちやすくなります。感度を下げるとノイズは減りますが、暗い場所では暗く写ってしまいます。これらの設定を組み合わせて、適切な明るさを得る必要があります。状況に応じて適切な設定を見つけ出すことが重要です。
撮影後の編集段階での明るさ調整は、編集ソフトの機能を使います。編集ソフトには、明るさ、色の濃淡、階調などを調整する機能が備わっています。明るさは、映像全体の明るさを調整します。色の濃淡は、色の差を調整することで、メリハリのある映像にしたり、落ち着いた映像にしたりできます。階調は、明るい部分と暗い部分の滑らかさを調整します。これらの調整項目を細かく調整することで、撮影時の明るさ不足を補ったり、意図的に明るさを変えることで演出効果を加えたりできます。また、波形モニターや明るさの分布図などの補助ツールを使うと、より正確な明るさ調整ができます。波形モニターは、映像の明るさをグラフで表示するもので、明るすぎる部分や暗すぎる部分を視覚的に把握できます。明るさの分布図は、明るさのレベルごとの画素数をグラフで表示するもので、映像全体の明るさのバランスを確認できます。これらのツールを使って客観的に明るさを確認することで、より高品質な映像制作が可能になります。
調整段階 | 調整方法 | 詳細 |
---|---|---|
撮影段階 | 絞り | レンズに入る光の量を調整。 開放→明るい/ピント範囲狭い、絞る→暗い/ピント範囲広い |
シャッター速度 | センサーに光が当たる時間を調整。 速い→暗い/動体ブレなし、遅い→明るい/動体ブレあり | |
感度(ISO) | センサーの光への反応度を調整。 高い→明るい/ノイズ多い、低い→暗い/ノイズ少ない | |
編集段階 | 編集ソフト | 明るさ、色の濃淡、階調などを調整 |
補助ツール | 波形モニター:明るさをグラフ表示、明るさの分布図:明るさレベルごとの画素数をグラフ表示 |
実践的な輝度調整
明るさを変える作業は、ただ明るくしたり暗くしたりするだけではなく、映像全体の雰囲気や伝えたい事を考えて行う必要があります。例えば、明るく楽しい雰囲気の映像にしたい時は、全体を明るくし、明暗の差を少し大きくすると効果的です。反対に、落ち着いた雰囲気の映像にしたい時は、全体を暗くし、明暗の差を小さくすると効果的です。
見せたいものを目立たせたい時は、見せたいものを明るく、周りの部分を暗くすることで、見せたいものが際立ちます。例えば、料理番組で美味しそうな料理を目立たせたい時、料理は明るく、背景は暗くすることで、料理に視線が集まります。また、商品の質感や素材感を表現したい時は、明暗の差を大きくすることで、よりリアルに見せることができます。例えば、木彫りの熊の毛並みを表現したい時は、毛並みの明るい部分と暗い部分の差を大きくすることで、毛並みがより鮮明に見えます。
明るさを変える作業は、映像の見栄えを大きく左右する重要な要素です。適切な明るさに調整することで、見ている人に映像の魅力を最大限に伝えることができます。そのため、撮影の時から編集の時まで、明るさを常に意識しながら作業を進めることが大切です。どんな映像にしたいのか、どんな雰囲気を出したいのか、見せたいものは何なのかを考えながら、明るさを調整することで、より効果的な映像制作ができます。また、明るさだけでなく、色の濃さや鮮やかさも調整することで、より表現豊かな映像を作ることができます。
明るさの調整は、映像制作ソフトのスライダーを使って行います。全体的な明るさを調整するマスター調整、明るい部分の明るさを調整するハイライト調整、暗い部分の明るさを調整するシャドウ調整など、様々な調整機能があります。これらの機能を組み合わせることで、より細かい調整が可能になります。また、明るさの調整は、映像の一部だけに行うことも可能です。例えば、顔だけを明るくしたい時は、顔の部分だけを選択して明るさを調整します。このように、明るさの調整は、映像全体だけでなく、部分的にも行うことができます。
目的 | 明るさの調整方法 | 具体例 |
---|---|---|
明るい楽しい雰囲気 | 全体を明るく、明暗の差を大きく | – |
落ち着いた雰囲気 | 全体を暗く、明暗の差を小さく | – |
見せたいものを目立たせる | 見せたいものを明るく、周りの部分を暗く | 料理番組で料理を明るく、背景を暗く 木彫りの熊の毛並みを表現するために明暗の差を大きく |
質感や素材感を表現 | 明暗の差を大きく | – |
全体的な明るさ調整 | マスター調整 | – |
明るい部分の明るさ調整 | ハイライト調整 | – |
暗い部分の明るさ調整 | シャドウ調整 | – |
部分的な明るさ調整 | 部分を選択して明るさを調整 | 顔だけを明るくする |