
映像を強調!クローズアップ撮影の技法
画面いっぱいに被写体を大きく写す撮影方法を、大きく写す、という意味の言葉から、クローズアップと呼びます。人の場合は顔全体はもちろん、目や口元といった一部分だけを写すこともありますし、物ならば細かい部分を大きく映し出します。こうすることで、見る人の視線を画面の中の特定の場所に惹きつけ、強い印象を与えることができます。遠くの景色全体を写し出す遠景撮影とは反対の手法です。クローズアップを使うことで、被写体の細かい表情やしわ、作りなどが持つ質感、そしてそれらから感じられる感情や雰囲気を強調することができます。例えば、喜びの涙を流す目元を大きく写せば、感動がより伝わります。また、怒りで固く握られた拳を画面いっぱいに映し出せば、登場人物の激しい怒りが伝わってきます。不安そうに揺れる足元を大きく写すことで、登場人物が抱える不安や緊張感を表現することも可能です。クローズアップは、登場人物の心情をより深く伝えるだけでなく、映像を見る人に様々な効果を与えます。例えば、静かに燃えるロウソクの炎をクローズアップで映し出すことで、シーン全体の緊張感を高めることができます。また、主人公が手にした鍵穴をクローズアップすることで、これから何が起きるのかという期待感を高めることも可能です。その他にも、物語の重要な要素となる物をクローズアップで映すことで、見る人に何かを暗示したり、伏線を張ったりといった使い方もできます。このように、クローズアップは映像表現において様々な効果を発揮する、強力な手法と言えるでしょう。